6年連続の増収でも利益で大差をつけられるANA

JALの再上場後、2013年3月期から2016年3月期までの4年間を比較してみましょう。まずはANAホールディングスの業績をチェックします。決算短信によれば、2016年3月期における連結ベースの売上高は1兆7911億円、当期純利益は781億円。当期純利益率4.4%の計算で、優良な業績だと言えます。実はANAは2年連続の増収増益を記録しており、781億円の当期純利益に至っては過去最高益となっています。経営成績は順調そのもののように見えます。

一方、JALはどうでしょうか。2016年3月期の連結ベースの売上高1兆3366億円。巨額に違いはありませんが、6年連続で増収を更新中のANAに対し、JALは前年に比べて売上を80億円減らしています。これは売上のピークを記録した2008年3月期の売上高2兆1974億円と比べると8607億円もの減少です。売上高の規模や勢いからするとANAの方に将来性を感じます。

ところが利益面で比較すると見方が変わります。JALの2016年3月期の当期純利益は1744億円。なんとANAより962億円も多いのです。1年だけたまたま良かったわけではありません。JALは再上場した2013年3月期から毎年のように10%を超える当期純利益率を維持しているのです。

出典:「ANAホールディングス株式会社 2016年3月期 決算短信」「ANAホールディングス株式会社 有価証券報告書」「日本航空株式会社 2016年3月期 決算短信」「日本航空株式会社 有価証券報告書」

売上はもちろん大切ですが、それよりも大事なのは最終的なもうけを示す当期純利益です。ANAは売上高で業界最大手となったものの、利益に関してはJALの後塵を拝しているのです。JALの利益率が高いことに関しては、税務上の優遇措置が取られているから、金利が安いからと言われていますが、それだけが理由ではありません。