なぜうつぶせ寝がなくならないのか

うつぶせ寝がなくならない背景には、保育者が常に忙しく、お昼寝の時間には少しでも早く寝かしつけたい、うつぶせ寝のほうが子どもは寝付きやすい、などの事情があると言われています。

通常の保育施設では、3歳未満児はうつぶせ寝させない、うつぶせ寝になる場合は保育者がそばにつく、決まった分数ごとに呼吸チェックをするなどのマニュアルが整えられている場合が多いと思いますが、マニュアルがあっても、保育者が読んでなければ意味がありません。

この3月・4月に起こった2件の死亡事故は、うつぶせ寝で発見され、どちらも保育者が相当時間、子どものようすを見ていなかったことがわかっています。

大阪のベルサンテスタッフが運営する「たんぽぽの国 東三国園」では、保育者がおやつの準備などをしている50分ほどの間に、うつぶせ寝で亡くなっていたといいます。この施設は昨年、保育従事者が1人になったり、保育士が不在になったりする時間帯があるなど、大阪市の指導監査基準を満たしていないことを指摘されていました。

東京のアルファコーポレーションが運営する「キッズスクエア日本橋室町」の事故では、うつぶせのまま2時間以上寝ていたといい、少なくとも発見前の50分間は、保育者は子どものようすを見ていなかったということです。保育者は、子どもが泣いてしまったので、他の子どもが起きないように別の部屋に寝かせたと話しました。

家庭でも突然死は起こっていますが、保育施設の事故の場合、親だったらそうはしなかっただろうと思うような状況が明らかになるケースは多いのです。

そして、その背景には、人手が不足していたり、未熟なスタッフが責任感のない保育をしていたり、子どもにこまやかに目を配れない何らかの状況がある場合も少なくないと思います。