東京都在住の41歳・葉山徹さん(仮名)は、かつては保育の仕事に夢を見て保育園に勤めていた。しかし勤務条件が悪いうえに園長のパワハラが待っていた。葉山さんは「仕事用の服は自腹。タイムカードを切ってからのサービス残業が常態に。支払いを要求すると、園長から叱責されて7キロやせてしまい、退職した」という――。

※本稿は、小林美希『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』(講談社現代新書)の一部を再編集したものです。

水辺で頭を抱えている男性
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倉庫会社で働き、「ウーバーイーツ」で家計を補填

もともとは保育士だったのですが、あんまりブラックだったので辞めて、今は倉庫会社で働いています。副業で、デリバリーの「ウーバーイーツ」もやっています。倉庫の仕事は、商品の受注、発送の手配がメイン。深夜0時から朝9時までの夜勤をやっています。

妻は公立保育園の保育士です。妻の休みの土日、夜勤明けで家に帰って、妻と子どもが二人で寝ていると、二人の朝ごはんを作ってから1時間くらい寝ます。その後は、娘と遊びに出かけます。平日、帰宅してから眠くない時とか、気分転換に外に出たいときにウーバーの仕事を入れています。

倉庫の仕事は、手取りで月35万円。額面だと41万円くらいですね。ボーナスは業績に連動するのですが、夏は90万円、冬は75万円でした。倉庫の年収は660万円くらいになりますね。夜勤でキツイけど、給与が高いので辞められません。

ウーバーは週払いで、すごく頑張ると5万円、ちょこちょこやると2万円。家にいて何もしないより、外に出て稼いだほうがいいですよ。楽しいし。僕にとってはウーバーは面白いですよ。素敵なお店を知ることができるので、家でストレスがあっても気分転換になります。

東京都心暮らし、夫婦で手取り65万円の生活実態

公立の保育士は地方公務員になるのですが、48歳の地方公務員だと考えると妻の収入は、そう多くはないです。月々、給与から積み立て3万円、生命保険の掛け金を3万円支払って税金などが引かれると、手取りは月30万円です。二人合わせて手取り月60万~65万円。僕の35万円を生活費にし、妻の30万円は貯金に回しています。

僕の本業の収入は家族のものなので、ウーバーの収入分で、自分のお酒や娘の服を買っています。

普段なら1000円のスニーカーを買うところ、ウーバーで少し稼ぐと「ナイキ」のエアマックスの8000円のスニーカーを買う。ちょっとした贅沢ですね。帽子が好きで、前はキャップを980円くらいで買っていましたが、ウーバーは副収入だから、「アディダス」が少しくらい高くても買えちゃいます。

でも、背伸びはしません。帽子の「ニューエラ」というメーカーも好きなんですが、欲しかったものは定価だと6000円くらいするんです。それはネットで安いものを探して、セール品を3800円で買いました。