※本稿は、小林美希『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』(講談社現代新書)の一部を再編集したものです。
年収800万円が520万円にダウン
本当に、もう、何もしちゃいけないんですよ。何かしたらお金を使うでしょ。じっと動かないでいるしかないんです。
異業界から保育業界に転職して3年間、保育園を運営する会社の本部で働いていました。それ以前は年収が800万円あった時もあるんです。けれど、保育会社に転職したら年収は520万円に減りました。手取りだと400万円。
妻は専業主婦なので僕だけの収入だから、生活はかなり苦しくなりました。月収だと手取り32万円ですが、毎月、貯金を取り崩してなんとかしています。
転職時は給与が多少低くても仕方ない。管理職での採用だったので、あとから昇給すると信じていました。それが、同じ役職でも人によって給与額があまりにもバラバラ。低い金額で入社するとずっと低いままで変わらないと、後から知りました。
昇給についてルールがないんです。えー、そんなのあるのかって信じられなかったですよ。わりと大きな会社なのに。社長と社長の取り巻きの役員連中だけ高額報酬をもらっていて、ほとんど仕事はしていない。
社長に物申すだけで賃金25%ダウン
それで、ある幹部が社長に物申すと、入社時より25%も賃金ダウンとなったんです。社内の様子を見ていると、どうも、この先、収入が増える見込みがしないんです。
僕一人の生活ならなんとかなるかもしれませんが、妻は体調が良くなく働けないし、娘は小学校高学年でこれからお金もかかってくるし、これじゃあ生活していけないので、保育会社を辞めました。早い段階で「会社の闇」っていうんでしょうか、そういうところが見えたんです。人を大事にしないんですよ。