「甲類焼酎、バタピー、厚揚げ」という贅沢

こういう状況なので、おごってくれる上司と飲みに行くのが嬉しいです。自分にとってご褒美ほうびをもらえている感じがしますよ。

あとは、家で飲みます。「イオン」で紙パックに入っている大きなサイズの甲類の焼酎を1000円くらいで買って、おつまみには100円のバターピーナッツ。88円の厚揚げを買ってきてフライパンでごま油で炒めて食べる。妻がつきあってくれて、いろいろ話しながらお酒を飲むのが最高ですね。

釣りも好きで、埠頭ふとうに行くとカサゴがよく釣れるので、その場で締めて夕飯にする。釣りはお金がかからなくていいんです。

中流以下でも車を持つ理由

車の維持費がかかるのですが、ないと不安で。ガソリン代がかからないように、なるべく乗らないようにしています。

小林美希『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』(講談社現代新書)
小林美希『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』(講談社現代新書)

それというのも、東日本大震災の時に、うちの辺りは電力不足で計画停電になったんです。電気や冷蔵庫が使えなくなっただけでなく、情報も入らなくなって妻が不安で不安で仕方なくなって。車さえあれば、エンジンをかけてテレビやラジオもつけられるので、車だけは持っておこうと決めているんです。

車を持っていると、ガソリン代が月5000円。税金や保険で年7万円もかかりますが、土日に買い出しにも行けるし。中流以下の僕は、安いスーパーを探します。「三和」「イオン」「業務スーパー」の常連ですね。

こういう状態で、もし自分に病気が見つかるといけないので、健康診断は受けません。老後のことなんて考えられないですよ。自分には老後が来ないと信じています。

小林 美希(こばやし・みき)
労働経済ジャーナリスト

1975年茨城県生まれ。神戸大法学部卒業。株式新聞社、毎日新聞社『エコノミスト』編集部記者を経て、2007年よりフリーのジャーナリストに。13年「『子供を産ませない社会』の構造とマタニティハラスメントに関する一連の報道」で貧困ジャーナリズム賞受賞。著書に『ルポ 保育格差』など。