「本当にやりたいこと」を自分に聞いてみよう

母親でなくても、働く女性たちは「今の状況で満足せよ」「高望みし過ぎるな」という周囲からのプレッシャーを感じています。一方で、自分と似た境遇にある女性たちと対話し、フラストレーションを共有し、互いを励みに感じられると、彼女たちの目は生き生きと輝き、キャリアについての希望を語る声ももっと力強くなる、ということを私はさまざまなワークショップなどを通じて実感しています。

自分自身と交渉するということは、自らと対話することです。「本当に達成したいことは何か?」と。“本当にやりたいことを知る”ことが、変化を求めて周囲に働きかける基盤となります。その際、2つのことが必要です。

●自分自身の声を聞くこと。伝統、社会、周囲の声などの雑音をいったん消しましょう。そして、自分自身の声を聞く助けとなってくれる人を見つけましょう。あなたが仕事上で尊敬する人や賢明な友人などがいいですね。

●他の女性たちと話し、刺激を与え合いましょう。あなたがこうしたいと思うことを既に成し遂げた女性たちに、どうそれを実現したのか尋ねてみるといいでしょう。そして、やりたいことを成し遂げ、今度はあなた自身がロールモデルになってください。

より良いキャリアのために交渉することは、何段階かのレベルに働きかけ、あなたの声を聞いてもらうということです。あなたが何を望んでいて、何があなたを幸せにするのかを世の中に知ってもらうことが初めのステップです。

これは必ずしも簡単なことではありません。あなたの行く手を遮るものがたくさんあることでしょう。でも、諦める代わりに、あなた自身とあなたの周囲の人々に尋ねてみてください。「私が望むものを得るために私は何をすればよいのでしょうか? 私たち皆にとって有益な解決策を見つけるために私たちには何ができるでしょうか?」と。

「キャリア実現の交渉術」の4つのポイント
●働く女性として、自分のために何かを要求すると「女性はこう振る舞うべきだ」という根深いステレオタイプからくる抵抗に遭うことがままある。
●文化的、社会的、組織的なレベルにおける既成の「理想」を変えるために働きかけよう。その際にあなたが何を変えたいと思っているか、を世の中に知らしめること。
●あなたが本当に望んでいること、あなたのキャリア上の夢や希望を知るために、あなた自身と「交渉」しよう。
●他の女性たちと夢や志を語り合い、互いに支え合い、刺激を与え合おう。
エグゼクティブアドバイザー マレーネ・リックス
1965年、デンマーク生まれ。エディンバラ大学卒業。イギリス、アメリカ、メキシコ、オーストラリアなどの国々で学び、働いてきた経験がある。フリーのアドバイザーとして企業や個人にリーダーシップや交渉術を教える。

翻訳=井内千穂 撮影=徳永彩