「無意識の偏見」を取り除く3つの変化

こうした女性への反応は、職場では時に無意識に、しかし極めて明確に現れます。

例えば、小さい子供を抱える女性の場合、たとえキャリア上のチャンスがある時にも、「小さい子供がいるうちは、彼女にはこの仕事をするための時間やエネルギーがないだろう」という理由で、そのチャンスから外されてしまうことがあります。男性であれば、小さい子供がいるかどうかが仕事上のネックになることなんて、ほとんどないでしょう?

では、誰もが家族のために費やす時間が必要だ、ということを前提に考えた時に、女性にも男性と同じ仕事のチャンスが得られるよう、状況を変えていくにはどうしたらいいでしょうか?

次の3つのレベルで「変化」を促す必要があります。

(1)文化的レベル:伝統的な古い価値観を現在の状況に合うように調整する。
(2)社会的レベル:子供や身内の世話をしながら、同時に、自分たちのコミュニティーの生産的な一員であろうと取り組んでいる家庭の社会実現を、政治的側面から支える。
(3)組織的なレベル:全ての働き手が、男性も女性も、小さい子供を抱えていても、有意義なキャリアを築き、持てる能力をフルに発揮できるように、職場の仕組みを整える。

そして、決して軽んじてはならないのは、私たち1人1人がキャリアにおいて、自分の夢やゴールについて考え、それに基づいて決断できるよう、上司も部下も、家族も友人もお互いに助け合うことです。

そのために各個人が「自分自身と交渉する=対話する」ことが基礎になります。なぜなら、まず自分が何を望んでいるのかが分からなければ、それを得る方法もまた見つからないからです。

でも、自分が「本当は何を望んでいるか」を知ることは、そう簡単なことではありません。なぜなら私たちは、誰もが他人の考えに影響を受けているからです。例えば、自分の職場について考えます。「小さい子供を持った母親がこの会社で高い地位に就いたことなど今までに一度もない。だから、そんなことは望む価値さえない」

また、社会に対してこう思います。「もし仮に仕事を得たとしても、子供を保育園に入れるのは無理だろう。待機リストがあんなに長いのだから」。そして、家族や友達からどう見られるかについて考えます。「今、私が職場に復帰したら、家族は自分のことを悪い母親だと思うだろう」

あなたは何を望んでいますか? まずは自分との交渉(対話)で具体的にしていこう。