母として、プリンシパルとして

映画『Maiko ふたたびの白鳥』を観ると、西野さんのこのパワフルな生き方は、キャリアウーマンだった母・衣津栄さんの遺伝子をそっくり受け継いだがゆえだということがよく分かる。

「じっとできないんですよ、私たち。1つの部屋に入れたら、壁を這い上がっていくような(笑)。母は、もう今は仕事してないんですけど、ボランティアなどいろいろと活動しています。18歳からずっと大手メーカーに勤めていましたが、10年前、55歳の時にガンが見つかって。その治療の時に『病気を機にきっぱり辞めたい』って父に話していたのを覚えています」

懸命に築いてきたキャリアにおいて、病気を理由にパフォーマンスを下げることは受け入れられなかったのだろう。“舞台”では最後まで輝き続ける。正真正銘の似たもの親子だ。「母のDNAそのままですよね(笑)」

15歳で日本を飛び出し、ヨーロッパ各地でのダンサー生活を経て、ノルウェーで開花した西野さんのバレエダンサー人生。母となった彼女が、輝きを増したように、プリンシパルとしてもまた、さらに大きく花開こうとしている。


西野麻衣子さんのお気に入り

 ■感銘を受けた本  オリジナルのピクチャーブック
……本ではないのですが、毎年クリスマスに、息子・アイリフの1年の成長をピクチャーブックにまとめます。

 ■モチベーションをあげてくれるもの  愛息 
……息子のアイリフ!

 ■西野さんにとっての癒しとは?  パートナーとのひととき
……ソファに座って夫・ニコライの横にいる時。何も言わなくても彼といると安心しますし、疲れもとれますね。ノルウェーのクマさんなんで(笑)。

 ■お気に入りのおやつ  ケーキ!
……自分で作るチョコレートフォンダンが好きです。


西野麻衣子
大阪府生まれ。6歳よりバレエを始め、橋本幸代バレエスクール、スイスのハンス・マイスター氏に学ぶ。1996年、15歳で英国ロイヤルバレエスクールに留学。19歳でオーディションに合格し、ノルウェー国立バレエ団に入団。25歳の時、同バレエ団で東洋人初のプリンシパルに抜擢される。同年、「白鳥の湖」全幕でオデット(白鳥)とオディール(黒鳥)を演じ分けたことが評価され、芸術活動に貢献した人に贈られる「ノルウェー評論文化賞」を受賞。同バレエ団の永久契約ダンサーとして活躍中。
『Maiko ふたたびの白鳥』
監督=オセ・スベンハイム・ドリブネス
出演=西野麻衣子、西野衣津栄 ほか
提供=ハピネット 配給=ハピネット、ミモザフィルムズ
2015年/ノルウェー/70分
公式HP(http://www.maiko-movie.com/
■2月20日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開

撮影=森崎純子(インタビューカット)