新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の封じ込めができなかったいま、自分や家族が感染したことを前提にした行動が求められています。私たちに何ができるのでしょうか。今回のパンデミックではダイヤモンド・プリンセス号での対応に奔走された沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科の高山義浩先生に伺いました。第2回目は重症化した場合です。
医師はコロナ患者を調べる
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Sirichai Saengcharnchai)

入院した場合の治療や経過は?

──重症化した場合、入院後にどうなってしまうかわからず不安です。どのような治療が行われるのでしょうか。

【高山】COVID-19患者さんのうち、およそ2割の方は8日前後に呼吸が苦しくなり入院を必要とします。入院後は原則として抗炎症薬や酸素投与など対症療法が行われます。抗インフルエンザ薬のファビピラビル(アビガン)、エボラ出血熱の治療薬であるレムデシビル、吸入ステロイドの喘息治療薬であるシクレソニド(オルベスコ)、膵炎治療薬のナファモスタット(フサン)、抗マラリア薬のクロロキン、抗IL-6受容体抗体トシリズマブ(アクテムラ)、抗SARS-CoV-2高度免疫グロブリン製剤など、様々な薬剤の有効性が検討されていますが、いずれも確立した治療法とは言えません。

治療の効果とご本人のがんばりの結果、呼吸が楽になり熱が下がって1日(24時間)が過ぎた時点で「軽快」と見なされ、そこから最短で2日間のうちにPCR検査で2回連続して陰性が確認されると、退院となります。初回の検査が陰性でも2回目の検査結果が陽性だった場合は、さらに24時間を経過してから再び検査を行います。退院基準を満たした時点で職場への復帰が可能です。

また、入院費を心配される方もいますが、COVID-19は指定感染症です。PCR検査で陽性が確認された後は、一切の費用は公的に負担されます。民間の医療保険に加入している方は、COVID-19の取り扱いがどうなっているのか、確認しておくと安心でしょう。