新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の封じ込めができなかったいま、自分や家族が感染したことを前提にした行動が求められています。私たちに何ができるのでしょうか。今回のパンデミックではダイヤモンド・プリンセス号での対応に奔走された沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科の高山義浩先生に伺いました。
母咳と心配夫と娘
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Hakase_)

感染するとどのような症状が出るか

──緊急事態宣言後、中等症~重症のCOVID-19の患者さんのベッドを確保するため、軽症者はホテルなどで療養することになりました。軽症例とはどのような症状を指すのでしょうか?

【高山先生(以下、敬称略)】COVID-19の軽症例は、微熱を含む発熱や咳、喉の痛み、強い倦怠感、重しが乗ったようなだるさなど、風邪のような症状が長引くイメージです。阪神タイガースの藤波晋太郎投手の件で広まった味覚障害や嗅覚障害は、普通の風邪や季節性のインフルエンザでも認める症状なので、これだけでCOVID-19を疑うことはありません。味覚・嗅覚障害は参考所見として先にあげた症状が4日以上続くようでれば、COVID-19を疑います。

これまでの報告によると、COVID-19発症者のうち2割は、発症から8日前後で息苦しさが出現してウイルス性肺炎に至り、酸素投与が必要になるなど状態が悪化していきます。

ただし、自覚症状のない肺炎の存在も指摘されていて、肺炎自体はより早期に生じている可能性があります。

さらに、進行すると急性呼吸性窮迫症候群や敗血症性ショックなどを合併して多臓器不全に至ることがあります。この場合、人工呼吸器やECMOなど高度医療へと移送しなければ、数時間で死亡します。一方、すべての感染者が発症するわけでなく、無症状のまま推移する例も存在します。