導入と同時にフリーアドレスに

さらにオフィスも変わります。今までは自分の席が決まっていましたが、導入と同時にフリーアドレスになりました。「隣の人はまったく姿を見せないなどの不満がでるのを防ぐため」です。

今も「違うグループの人がどこにいるのか、または出社しているのかがわかりにくい」などいろいろ問題が出ては改善されています。

また社内のコミュニケーションスペースをあちこちに配置し、部署を超えた交流から新しいアイデアや企画が生まれることもあります。

導入のコツは「まずは全員でやってみる」こと。そしてルールは「“プロジェクトチームではざっくり”&“各組織ではじっくり”」決めるのが良いそうです。

さらに常に問題をあぶり出し、柔軟に変わっていくことです。リモートワークはまさに「柔軟な働き方」なのです。リクルートでの問題抽出と改善の状況が一目でわかるサイトをここにご紹介しておきます(http://re-recruit.jp/reconsider/)。

他社でリモートワークの制度があっても、「育児期の人のため」「手続きが面倒」「文化がない」などの理由で、使われていないことも多い。

マイクロソフトでは「システム、制度がすべて整って文化だけが障壁だったときに3・11が起きた。樋口社長(当時)が1週間の出社停止を宣言し、やってみたら、何も悪いことはなかった。むしろいいことだらけだった」と一気に導入が進んだそうです。

林さんは言います「よくさぼる人が出てこないか、と聞かれますが、もともと事業を通して社会に貢献する理念のもと、働く目的意識を明確に持った自律的なタイプの人が多い会社なので、あまり心配はしていません。もともと、全社を挙げたMVP表彰など、成果を讃える文化やモチベーションを高める仕組みはあります。仕事の評価、見える化を進め、さらに、上司が逐一進捗管理を行う管理型のマネジメントから、自発的な欲求をベースとしたマネジメントへ変化させていきたい。そうでないと成果はあがらないからです」

リクルートの挑戦はまだまだ始まったばかりですが、リクルートは日本の働き方の文化を作ってきた企業。大きなよいショックが日本全体に広がる契機となってほしいと思います。

白河桃子
少子化ジャーナリスト、作家、相模女子大客員教授
東京生まれ、慶応義塾大学文学部社会学専攻卒。婚活、妊活、女子など女性たちのキーワードについて発信する。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活」を提唱。婚活ブームを起こす。女性のライフプラン、ライフスタイル、キャリア、男女共同参画、女性活用、不妊治療、ワークライフバランス、ダイバーシティなどがテーマ。講演、テレビ出演多数。経産省「女性が輝く社会のあり方研究会」委員。1億総活躍会議民間議員。著書に『女子と就活』(中公新書ラクレ)、共著に『妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング』(講談社+α新書)など。最新刊1月5日発売『専業主夫になりたい男たち』(ポプラ新書)。