高収益とは言えないビジネスモデル
ここで、テレビ局の収支構造について考えてみたいと思います。まずは収益についてです。民間放送のテレビ局は、視聴者に対して基本的に無料で番組を放送する代わりにスポンサーから広告料をもらっています。番組の間にCMが流れるのはそのためです。番組の視聴率が高まれば高まるほど広告媒体としての価値が高まるため、多くの広告料を獲得するためには面白い番組の制作が欠かせません。スポンサーからの収益は常に一定ではなく、番組の良しあしによって変動するのです。
次に費用についてです。テレビ局が番組を放送するには、電波使用料のほかにスポーツ試合などのテレビ放映権料、中継権利料、そして番組制作会社などへの業務委託料、タレントへの出演料などがかかります。一般的に原価率が60%~70%に上るため、粗利率は30%~40%程度です。また、社員に対する人件費、番組の広告宣伝費のほかにスポンサー企業とテレビ局とを仲立ちする広告代理店への代理店手数料などもかかります。収益の15%以上を代理店に支払うため、人件費、設備費などを含めた販売管理費を差し引けば営業利益率は5%~10%にとどまります。そこからさらに納税などをしなければならないため、税引前利益に対して40%程を占める税金を支払えば当期純利益率は必然的に3%程度になります。テレビ局のビジネスモデルは、それほど高収益ではないのです。また、インターネット広告の普及により、このままいけばテレビ局の広告収入は減っていくと考えられます。それなのに社員の給料はなぜこれほど高いのでしょうか。