質疑応答の鉄則:ツカミとオチ 「感謝とまとめ」

さて、質疑応答の鉄則の一つ目のツカミとして、まずは「感謝」で質問をつかんでください。すぐに回答するのではなく「ご質問ありがとうございます」、鋭い質問の場合には狼狽を見せずに、「いい視点のご質問をいただきました」と、感謝で質問を受け止め、相手を上げてください。質問をした方も気分がよくなりますし、余裕のある自分を印象づける効果もあります。「つっこまれた!」と思わずに、理解浸透の機会を与えてくれたことに感謝しましょう。

オチとしては、回答が終わったら、相手が答えに納得しているかどうかを確認しましょう。「納得いただけましたか?」「ご質問の答えになっていますか?」と聞いて確認します。時間内にどうしても納得してもらえなさそうだと判断した場合には終了後に個別に話すと伝えてもよいでしょう。

最後はまとめとして、質問と回答を要約して、伝えたいメッセージの原則に戻ります。

「今のご質問はXXのケースでしたが、基本は○○だとご理解ください」というふうに重要なキーワードやメッセージに立ち戻ってまとめましょう。回答だけで終わるとプレゼンテーションの印象として、メッセージよりも回答のほうが残ってしまいます。流れとしては、「感謝→回答→腹落ち確認→まとめ」という順を意識すると完璧です。

質疑応答を避けたり、過剰反応してしまう方もいますが、ここまでがプレゼンだと「込み」で考えておきましょう。不安であれば、リハーサルの中で質問をしてもらうと、余裕がでてきます。試してみてください。

清水久三子

お茶の水女子大学卒。大手アパレル企業を経て、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社後、企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして、数々の変革プロジェクトをリード。
2005年より、コンサルティングサービス&SI事業部門の人材開発部門リーダーとして5000人のコンサルタント・SEの人材育成を担い、独立。2015年6月にワーク・ライフバランスの実現支援を使命とした会社、オーガナイズ・コンサルティング
を設立。延べ3000人のコンサルタント、マーケッターの指導育成経験を持つ「プロを育てるプロ」として知られている。
主な著書に「プロの学び力」「プロの課題設定力」「プロの資料作成力」(東洋経済新報社)、「外資系コンサルタントのインパクト図解術」(中経出版)、「一瞬で伝え、感情を揺さぶる プレゼンテーション」、「外資系コンサルが入社1年目に学ぶ資料作成の教科書」(KADOKAWA)がある。