「国内売上No.1企業」の主な業務は生命保険

2015年3月期における日本郵政の連結売上高は14兆2588億円です。東証一部に上場している会社の同期における連結売上高のランキングでは、トヨタ自動車が27兆円で1位、本田技研工業が13兆円で2位であったことから、日本郵政の売上高はトヨタ自動車に次ぐ大きさだということが分かります。

ただ、トヨタ自動車は海外売上が全体の77%以上、本田技研工業に関しては海外売上が全体の84%以上を占めているのに対し、日本郵政は国内での売上がほとんどです。そのため、日本市場における売上高に限定すると、日本郵政がダントツの1位となります。

その収益の内訳はどうなっているのでしょうか。セグメント情報を見れば売上高の事業別内訳が明らかとなります。それによれば、14兆円もの売上高のうち、なんと生命保険事業が10兆円以上を占めており、全体の7割を超えています。日本郵政の主な収益源は、郵便・物流サービスでも、銀行業務でもなく、実はかんぽ生命保険が中心となっている生命保険業務だったのです。

生命保険事業では終身保険や養老保険、学資保険といった個人保険や個人年金保険を数多く取り扱っていますが、売上高の規模からしていかに多くの国民が保険に加入しているかがうかがえます。

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【上】日本郵政 売上の内訳【下】日本郵政 売上高の推移

ただ、中期の売上高の推移を見ると、売上高は減少傾向にあります。

17兆円以上もあった売上高が5年間で3兆円以上も減り、中でもメインの収入源となるかんぽ生命保険の減少は1.5兆円と、半分近くを占めています。そのうち、保険料収入などの減少が1.4兆円近くですので、今後いかに多くの魅力的な保険を打ち出せるかが勝負どころです。なお、このような状況下において、2014年4月に発売された学資保険「はじめのかんぽ」は好評を博し、保険料などの収入を前年比で451億円増やす結果となっています。