チーム内の関係性を整備するために必要な3つのポイント
1)自分(リーダー)の判断を表に出さない
2)話し合いの状況そのものを、メンバーに俯瞰させる時間を与える
3)語られることのないそれぞれの気持ちを、対立しない形で表出させる
あなたがリーダーだったらどうしますか? リーダーとして、チームにどんな「問いかけ」をしたらいいでしょうか? 先ほどの場面ではリーダーは自分の意見を伝えて、Bさんにブレーキをかけていました。前述のリーダーがチーム内の関係性を整備するために必要な3つのポイントに気を付けると、どのような「問いかけ」になるでしょうか?
“自己修復”のきっかけとなる質問を
リーダー:今、私たちはどんな状況だろう? Cさん、どうですか?
C:……ちょっと、居心地が悪いです。
リーダー:どうすればよくなりそうですか? Dさん、どうかな?
D:Bさんの成功事例も聞きたいのですが、まずは各自の状況を確認してから、その後で具体的に聞かせてもらったらいいと思います。
リーダー:Bさんは?
B:すみません、ちょっと熱くなり過ぎましたね。自分が営業推進部に発表会を提案したもので、つい……。
A:え、そうなんですか!? 知りませんでした。発表会って、営業推進部が企画しているのかと思っていました。
リーダー:では、各自の現状リポートに戻りましょう。
リーダーの発言によって何が起きたでしょうか? まず、Cさんから「ちょっと、居心地が悪い」という発言が出てきました。この発言によって、皆が「場」の状況を共有し、振り返ることができました。そして、議題(リポート)とは異なる点について問かけることで、Bさんが状況を俯瞰し、自分の発言の背景を話したことで、AさんはBさんの発言や立場についての理解を深めることができました。
このように、チーム全員でのコミュニケーションを活発にするためには、質問を使ってメンバー間のやりとりに関与し、望ましいコミュニケーションを生み出す必要があります。そしてその際には、リーダーがメンバーの自己修復力を生かせるよう、問いかけの形で関わることが重要です。次回はこうした会議の場面において、チーム内でのやり取りをさらに活発にするための質問をご紹介します。
日本アクションラーニング協会 代表。
東京女子大学文理学部心理学科卒業後、事業企画や人事調査等に携わる。数々の新規プロジェクトに従事後、渡米。ジョージワシントン大学大学院マイケル・J・マーコード教授の指導の下、日本組織へのアクションラーニング(AL)導入についての調査や研究を重ねる。外資系金融機関の人事責任者を経て、(株)ラーニングデザインセンターを設立。国内唯一となるALコーチ養成講座を開始。また、主に管理職研修、リーダーシップ開発研修として国内大手企業に導入を行い企業内人材育成を支援。2007年1月よりNPO法人日本アクションラーニング協会代表。