キャリアを積むコツ

「出産を機に、正社員から派遣に切りかえた人がいますが、40歳で契約が切れてからは全く仕事がこなくなった。年齢が上がると上司が年下になるケースが増えるため、雇いにくくなるのでしょうね」と金澤さんはずっと派遣で働き続けることの厳しさを語る。

【写真左】はぴきゃり代表取締役 金澤悦子さん【写真右】ファイナンシャルプランナー 大竹のり子さん

「そうは言っても育児や介護といった問題があるので、非正規で働かざるをえない状況は女性にはありがち。それでも終わりは必ず来ますので、常に自分はどうありたいのかを、考えておいてほしい。ちなみに派遣の仕事がこなくなった彼女は、自分の軸を探して未経験で飛び込んだ分野で正社員として働いていますよ」(金澤さん)

逆に非正規の働き方を有効利用するという手もあると続ける。

「派遣として働いて、自分の興味のある業界を見てみるといいんです。どうせ毎日を過ごすなら、それを自分の武器になるように意識する。将来のキャリアのためと思ってやるだけで後々全然違ってくるものですから」

マネー管理&投資のコツ

「非正規社員といっても、契約社員や派遣社員であれば通常は社会保険に加入できるので、ここは正社員と変わりませんが、大きな違いは退職金の有無。非正規は年間の契約なので退職金が積み上がっていかないんですよね」(大竹さん:以下同)

だから、退職金がないことを前提にマネープランを立てなければならない。

「たとえば住宅ローンを組むときに退職金で一括返済といった方法がとれないので、それを見越して65歳までにローンが終わるようなプランにするとか、ボーナス払いをやめてきちんと月々の給料で解決するようにするとか、そういうリスクヘッジは大事です」

不動産を買うタイミングも重要。

「ローンを組める、組めないが全く違うので、正社員のうちに買ってから辞めたほうがいいでしょう。夫婦で共同名義にする場合も同じです。家計は、いつ職を失ってもいいという覚悟のうえで、旦那さん1人の稼ぎでやっていけるような組み立てが必要です」

はぴきゃり代表取締役 金澤悦子
東京都出身。1991年、リクルート入社。営業に従事し、新人MVP賞を受賞。広告営業局局次長、広報室室長を歴任するも、仕事との距離感がつかめず心と体を痛めてしまう。これをきっかけに、「幸せに働くってどういうこと?」という問いへの答えを求め、2001年、総合職女性のためのキャリア転職マガジン「ワーキングウーマンタイプ(現ウーマンタイプ)」を創刊、編集長に就任。05年独立。
ファイナンシャルプランナー 大竹のり子
1975年生まれ。編集者を経て独立。だれもが気軽に利用できる女性による、女性のためのマネー相談サービスを実現したいとの思いから、2005年、エフピーウーマンを設立、代表取締役に就任。経営の傍ら、講演や執筆、TV出演など、幅広く活躍している。『マネーセンスを磨けば、夢は必ずかなう!』(東洋経済新報社)などお金の分野での著書は40冊以上。