私も古市憲寿さんと初めて会ったときに「はじめまして」と挨拶したら、「ああ、そうですか。もうツイッターで絡んでいるから初めてじゃないですよね……」と言われました。これが「常時接続」世代の感覚なんだなと改めて思いました。

この感覚ばかりは「慣れ」としか言いようがない。40代以上はそれに慣れていくしかない。慣れれば、新しい世代への理解も進み、ビジネスやマネジメントにもプラスの効果があるでしょう。

村田マリさんは1社目の起業をした後に妊娠、出産、育児と経営の両立の壁に直面します。どんなスーパーウーマンでも「産むときばかりは会社を離れないわけにはいかない」と実感。心身ともに疲弊し、1社目を売却し、シンガポールに移住。2年後にまた起業するのですが、その時はパソコンを通じて日本にいるスタッフと起業するというスタイル。

例え営業でも「スタッフにパソコンを持っていてもらって設定してもらえば、遠隔でもできる」のです。まさに場所と時間にとらわれない働き方です。

「男性のキャリアイメージは一直線」でも女性は「ライフイベントでキャリアを断絶するおそれ」がある。しかしその負荷を「我慢」で乗り切る事例や、「不本意ながら競争の少ない事業を選択する」ことも多い。

「新しい働き方のロールモデルに挑戦する」のが村田マリさんの答えでした。

女性活躍推進には「労働時間のコントロール」と「柔軟な働き方」が必要です。それを助けるのが、ツールとしてのベースであるITであり、制度であり、さらに文化が変われば、働き方は変わる。

2030に向けて、ぜひ一度、使われていないテクノロジーや制度がどれぐらいあるか、なにが障壁になり、何があれば動き出すのか、チェックしてみることをおすすめします。

白河桃子
少子化ジャーナリスト、作家、相模女子大客員教授
東京生まれ、慶応義塾大学文学部社会学専攻卒。婚活、妊活、女子など女性たちのキーワードについて発信する。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活」を提唱。婚活ブームを起こす。女性のライフプラン、ライフスタイル、キャリア、男女共同参画、女性活用、不妊治療、ワークライフバランス、ダイバーシティなどがテーマ。講演、テレビ出演多数。経産省「女性が輝く社会のあり方研究会」委員。著書に『女子と就活』(中公新書ラクレ)、共著に『妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング』(講談社+α新書)など。最新刊『格付けしあう女たち 「女子カースト」の実態』(ポプラ新書)