中間管理職層は、なぜ抵抗するのか

日産自動車では、すでにある在宅勤務制度が「制約社員だけのもの」とされ、「在宅勤務制度の利用低迷」が課題でした。しかしトップダウンで100名の部署の「誰もが一度は利用しよう」というトライアルを実施しました。中間管理職層の抵抗が障壁となったのですが、全員が取り組むことで「在宅で報告書作成ができる」「通勤時間が削減できる」など子育て層以外にも好評で、「在宅勤務へのイメージの変化」を感じた人が66.2%でした。

どの取り組みも「制約社員以外は働き方を変える必要があるのか?」と感じていること、「中間管理職層の抵抗」という共通の課題があったのですが、「全員で取り組むと文化が変わる」という効果を実感できた取り組みでした。

なぜ「中間管理職層」は、「場所や時間にとらわれない働き方」に抵抗を感じるのか?

「それは『おい』と呼べば、『はい』という距離にいて見張っていないと管理職層が不安だからですよ」とある女性が言っていました。

このあたりは「ITが空気のようにある世代」とそうでない世代、つまり40代以上と以下では確実に「文化の差」があります。

シンガポールにいながら、日本企業の役員も

女性のシリアルアントレプレナー(連続起業家)として有名な村田マリさん(iemo代表取締役CEO、DeNA執行役員。1978年産まれ)の話をRETI(RETI BBLセミナー「新時代の女性起業家の新しい働き方」)で聞いた時におもしろいことを言っていました。

「いつもVIDEO Chatを通じて会議をしている女性スタッフと東京で会ったときに『髪型変わったね』と声をかけたら『お会いするの、初めてです』と言われました」

彼女は子育て期にシンガポールに移住し、遠隔で日本のスタッフと一緒に新会社を立ち上げており、今もシンガポールにいながらDeNAの役員も務めています。それほどITの世界では「一緒にいなくても仕事は可能」なのです。