お金の使い道と調達先で業界が分かる!

次に、B社の2015年3月期の連結ベースの貸借対照表を見てみましょう。円グラフは図の通りです。

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前ページのA社、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの円グラフと比べてみると、その構造の違いに驚く。

お金の使い道では、固定資産が全体の8割近く占めているため、固定資産を働かせることで収益を得ていることが分かります。また、お金の調達先では、負債が8割ということで借入をして設備投資していることが読み取れます。ガンホーとは対照的なので、業界やビジネスモデル、経営手法も大きく異なると推測できます。

実はB社は、住友不動産です。売上の4割を不動産の賃貸事業が占め、残りを不動産販売や注文住宅の請負工事等が占めています。賃貸業で多くの収益を得るには、それなりの不動産の規模が必要です。また、一物件あたりの価格が巨額に上るため、仕入れる際には借入に頼らざるを得ないことも不動産会社の特徴の1つです。

ガンホーと住友不動産の例から、会社のビジネス形態によって、お金の使い道と調達先の構成要素の割合が大きく異なることが分かります。会社の体質は貸借対照表に表れるのです。