ゲーム会社に潜り込んだ学生時代
学生時代は、クリエイティブなことがしたいという想いがあって、大学3年の秋から卒業までスクウェア(現スクウェア・エニックス)系のゲーム制作会社でアルバイトをしていました。
きっかけはアルバイト情報誌です。プログラマーやデザイナーの募集が出ていたんですが、私はプログラムも書けないし、デザインもできません。それでも何とか働かせてもらいたいと思い、手紙を書きました。時代を感じさせますよね(笑)。「私は学生で、ゲーム業界に興味があるのでアルバイトで雇ってほしい。無理ならちょっと見学だけでも」といった内容です。
積極的ですか? ゲーム制作会社は美大や専門学校からしかクリエイティブ職を採用しないと言われていました。プログラムもデザインも勉強していない私が潜り込もうとしたら、それしか手がないと思ったんです。
雑用で入りました。総務っぽい仕事や、デザイナーさんに頼まれて資料集を探すというような使い走りです。そのうちディレクターと仲良くなり、ゲームの中身の企画にも少しだけ携わらせてもらえるようになりました。
でも、結局、卒業してトヨタ自動車に入社することになります。
最近は分かりませんが、当時、ゲームのクリエイティブの世界というのは、スキルもさることながら人間関係が非常に重要だなと感じました。1つプロジェクトが終わる度にチームが解散して、誰かが独立して新しいチームを作ったり、みんなバラバラの道に進むことも多かったんですね。そんな中で私は今このディレクターに気に入ってもらえて仕事をいただいているけれど、特定の人間関係に依存するのは危険だと。上の人と一蓮托生になるのではなく、自分自身のスキルが必要だと感じました。そのときから、特定の環境でしか通用しないものではなく、どこでも役に立つ強みを身に付けたいと考えるようになりました。