社長から「店長にならないか」
日々、多忙な店長生活を送る丸山氏だが、1993年に入社したときはメカニックだった。卒業したのも自動車整備学校。最初の1年は点検や故障診断の業務につく。その後、整備の受付などを担当するサービスフロントで19年。その間、「全国日産サービス技術大会」で優勝し、トレーナー役もこなす優秀なサービスウーマンだ。
転機はそのサービス技術大会の打ち上げのとき。日産プリンス西東京販売の当時の社長、永安省三氏から「今度、ルノー車を扱う販売店を立ち上げるので店長をやらないか」と誘われる。1カ月悩んだという。
「2歳違いの子どもがいて下の子はまだ小1でした。営業は夜中まで仕事をしているイメージがあったんです」(丸山氏)
だが、輸入車の販売はそれほど夜遅くならないと聞き、心を決める。ルノーの車だけを扱う販売店を営業2人、メカニック2人の部下と回した。
「店長経験が初めてなら、損益計算にも不慣れだし、事業計画もゼロから立てなければなりませんでした。大変でしたが楽しかった。1台目を購入いただいたお客様は忘れられません。ベンツで乗り付けて無茶な値段を言われましたが、クルマを手放すときにわざわざ『ありがとう』とお電話をいただきとても感激したことを覚えています」
顧客と絆を強め、顧客満足度で2年連続全国1位の販売店にもなった。
3年半で黒字化し、4年目に他店に異動。大規模店を3店経験し、現在の府中西原店に移る。レディー・ファーストのアイデアは次々と浮かんでくる。毎週1回、化粧品会社の美容部員に来てもらって、ハンドマッサージや肌チェックの無料サービスを行う。平日の集客対策として抹茶やケーキを出すプランもあるようだ。しかし最後はコミュニケーションの力と心得る。
「お客様は自分の知りたいことを聞き出してくれるのを待っています。気が利けば女性でも男性でもいいんです」