挫折するから強くなれる

3歳から始めたレスリングですが、ずっと順風満帆だったわけではもちろんありません。実際は、何度も悔し涙を流しています。

最大の挫折は、北京オリンピックの半年前に、中国・太原で開催された2008年ワールドカップ団体戦で、アメリカのマルシー・バンデュセン選手に敗れたときです。

この試合まで私は公式戦119連勝。国際大会も27大会連続優勝中。加えて外国人選手にはそれまで一度も負けたことがありませんでした。

バンデュセン選手とも高校生のときに対戦したことがあり、そこでは私がテクニカル・フォールで圧勝しています。

だから、このときも、「負けるかもしれない」という不安な気持ちは、これっぽっちもありませんでした。もっといえば、「自分はこのまま引退するまで負けることはないんだろうな」と、当たり前のように思っていたのです。

それが、よもやの判定負け。

決まったと思ったタックルが、直後のビデオ検証で相手の「返し技」に変更されるなど、納得できないところもありましたが、それでも負けは負けです。

予想外の結果に私の頭は真っ白。控室に戻っても、しばらくは涙が止まりませんでした。

しかも、自分の連勝記録が途切れただけでなく、私が負けたせいで日本チームも優勝を逃してしまったという自己嫌悪も重なり、精神状態はボロボロ。