50万人以上に英語を教える秘訣は「オンライン」

EF Education Firstの創業者、バーティル・ハルト氏はスウェーデン出身で74歳。EF社は世界112カ国で語学学校や留学事業、大学などを展開する、世界最大級の私立教育機関だ。

東京オリンピックにボランティアとして関わりたい人、英語を上達したい人にとって、願ってもないことである。実際には、どのような教育プログラムが提供されるのだろうか。これまでのオリンピックで提供してきた教育プログラムについて教えてもらった。

EFが提供するのは、独自の方法論に基づいたオンライン英語学習プログラムだ。自己学習のeラーニングと、オンライン英会話を併用する。

まずはじめにオンラインで英語力テストを行い、16段階の英語レベルに振り分けて、習熟度別の英語学習を行う。

eラーニングでは、ビデオ教材等を使い、自分の実力に合わせて、好きな時間に自習する。「読む」「書く」「聞く」「話す」の4つのスキルをすべてこれで学んでいく。

オンライン英会話では、マンツーマンレッスンとグループレッスンが用意されている。レッスン講師は、アメリカ人、イギリス人、カナダ人、南アフリカ人、オーストラリア人と、英語を第一言語とするネイティブ教師のみ。先生と自由に話をする、というのとは異なり、カリキュラムに基づいたレッスンを行う。

グループレッスンでは時間を決めたクラスにオンライン上で世界各国から生徒が参加し、コミュニケーション中心の授業を行う。複数人が参加するグループのなかで発言するのは、多くの日本人が苦手とするシチュエーション。それを経験することができる。

タクシー運転手向け英語レッスンとは?

EF社のオリンピック用プログラムで興味深いのは、タクシーやバスの運転手に英語教育を行うことだ。リオでは約1万人の運転手に英語を教育しているという。

「(ボランティアスタッフや試合の審判など、高度なコミュニケーションを求められる仕事と違って)タクシー運転手の場合、英語を流暢に話すレベルにまで達する必要はありません。しかし、五輪開催都市の一員として、“Hello! How are you?”“How was your flight?”“Welcome to RIO!”などと気さくに挨拶をし、簡単でカジュアルな会話ができるだけでも、ビジターの印象はとても良いものになります。それこそまさに、おもてなしの対応なのです。また、単にオリンピックのために英語を学ぶのではなく、ご自身のキャリアアップにもつなげてほしい。例え話ですが、タクシー運転手が英語を話せるようになって、リムジンの運転手にキャリアアップする人もいるでしょう。そういう希望がある人は熱心にトレーニングを受けるし、上達も早いです」