宝の山は目の前にある
女性が「意識が低い」のではなく、それはあくまで職場の環境次第。
国保さんは続けます。
「『うちの会社の女性は意識が低い』は、経営者次第で回避可能な問題だということです。皆さん仕事に対する意欲は非常に高いということがわかりまして、これは大きな誤解でした。かつ制約を抱えた身になるということで、自分の人材としての価値をあげて経営に資する存在にならなくてはいけないという危機感もある。確かに残業はできないけれど、経営者にとってこんなに貴重な経営資源はないんじゃないか、と今は思っています。ただその制約の条件を企業側が正確に理解できていない、特に企業の環境整備で解決できるものが多いということに気づいていない企業が多いし、女性側も責任感が強いがゆえに仕事と子育てとをどれくらいうまく両立できるか確信が持てない状況で仕事を引き受けることにはためらっている。そこのミスコミュニケーションを正し、お互いWIN-WINの状況に持っていくための手段が、この『育児休業中』の『経営者思考のトレーニング』なのかなと感じています。女性は育休期間を学習機会に、企業は子育て女性の制約を考慮した環境整備をすることで、宝の山にアクセスすることが出来ますよ!! と伝えたいですね」
安倍政権の「2030」の掛け声はありますが、「うちの会社での女性管理職人材はそもそも3割もいない」「女性が管理職になりたがらない」という声をよく聞きます。そもそも女性人材がいないのは、ちょうど管理職への道を歩み始める30代年代が子育て期と重なり、辞めてしまうか、降りてしまうから。
しかし、この勉強会に参加しているような「モチベーションが高い」ママたちは実はたくさんいます。疑似体験したことで「プレイヤーからマネジメントへのおもしろみ」を感じ、管理職人材へと進化する。しかもその管理職人材とは、これから「女性だけでなく介護や子育て中の男性、外国人」なども含むダイバーシティマネージメントができる貴重な人材です。イクボスを育てる試みはありますが、育休中の当事者を「イクボス」人材とする教育は今までなかった。この勉強会には大きな可能性を感じました。
育休を活用したMBA体験勉強会(育休プチMBA)
http://kokubo.seesaa.net/article/408596915.html
私もKBSのケースメソッド教授法の授業を受け、「女子大生のキャリア教育にケースメソッドが使える」と思っていたところに、国保さんがこの勉強会を主宰していると聞きました。その後、2人で女子大生用のケースを開発し、私の研究会でトライアル勉強会を開いたところ、「女子大生のキャリア教育にもケースメソッドが使える」という確信ができました。今ケースを開発中です。
U28 Girls’*Lab 女子大生のキャリア教育ケースメソッド
https://www.facebook.com/girlslab28
少子化ジャーナリスト、作家、相模女子大客員教授
東京生まれ、慶応義塾大学文学部社会学専攻卒。婚活、妊活、女子など女性たちのキーワードについて発信する。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活」を提唱。婚活ブームを起こす。女性のライフプラン、ライフスタイル、キャリア、男女共同参画、女性活用、不妊治療、ワークライフバランス、ダイバーシティなどがテーマ。講演、テレビ出演多数。経産省「女性が輝く社会のあり方研究会」委員。著書に『女子と就活』(中公新書ラクレ)、共著に『妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング』(講談社+α新書)など。最新刊『格付けしあう女たち 「女子カースト」の実態』(ポプラ新書)。