さらに区分けされる「働き方」
待機児童問題もさることながら、「働き方」「働かされ方」の問題は大きいと思います。
昨年、アベノミクスのひとつとして限定正社員(ジョブ型正社員)が提案されました。これは勤務地や職務などを限定した正社員(無期雇用)で、正規雇用と非正規雇用の中間的な雇用形態といわれています。詳細な「雇用ルール」は検討中になっています。
メリットとしては、非正規雇用の人が正規雇用に移行しやすくなる、限定的に働きたい子育て・介護を担う社員が助かるなどと謳われています。
このような雇用管理は「地域限定社員」などとしてすでに多くの企業で行われています。そこでは、昇給が頭打ちになり無限定正社員(通常の正社員)との差が開いていく給与体系、事業の撤退を理由に解雇できる契約も見られ、デメリットを指摘する声も多く上がっています。
働く母親たちの受難を見てきた私には、育児休業から復帰してきた母親社員が「残業」「転勤」などの踏み絵が踏めず、「では限定正社員に」とお勧めされてしまう姿が目に浮かびます。
強制されることはないのか、本人の希望でいつでも元に戻れるのか、同一労働同一賃金(働く時間が短くても、同様の業務や責任を担っていれば時間単位の賃金その他の労働条件は同じでなければならないという原則)は徹底されるのか、課題は多いと思います。
そして、いちばんよくないと思うのは、
(1)無限定正社員=家庭を顧みず働ける旧来型社員(主に男性)
(2)限定正社員=子育ても仕事も大事にしたいバランス型社員(主に女性)
という区分に定着してしまうということです。