私からは、働く親たちの状況はこんなふうに見えています。
●正規雇用の仕事が重くなっている
日本国民の労働時間はリーマン・ショック後減ったと言われますが、実はフルタイム労働者の労働時間は減っていません。人減らしによってよけいに忙しくなったと感じている人も多いようです。非正規雇用がふえ、正社員の負担が重くなっていると訴える人もいます。残業ができないと言うと、契約社員への転換を勧められたという話はよくあります。長時間労働の慣習は、家庭に時間をとられる子育て社員を排除しようとするハラスメントの土壌になっています。
●非正規雇用の増加は子育て支援からはみ出す人をふやしている
女性の就業率は高まってきていますが、非正規雇用で働く人の割合が大きくなっています(約6割)。非正規雇用で働く人は育児休業などの制度の利用が困難なため(法律的には可能だが実際には難しい)、せっかく子育て支援の労働制度が充実されてもその枠の外にこぼれてしまっています。
●子育て世代の経済的ゆとりが少なくなっている
所得が減少するなか、子どもを育てるからこそ共働きで家計を安定させたいと考える男女がふえています。以前よりも経済的な切迫感が増しています。
●都市部の待機児童問題はまだ深刻
急速な共働き化が進行する都市部では、保育園不足が両立の大きな障害となっています。公表される待機児童数は減っていますが、実際には厳しい状況がまだ続いています。(詳しくは「安倍さんが知らない待機児童数のナゾ」http://president.jp/articles/-/13270 参照)