自由な校風で高校生活を満喫
それはともかく、旭丘高校は自由な校風で、本当に楽しいところでした。制服はありましたが、着るも着ないも自由。私もあまり着ていませんでした。ただし、生徒の間で「高校生らしく、あまり派手な格好はしない」という申し合わせはありました。校則で縛るのではなく、生徒が自主的に物事を考えて決定する。先生は生徒が決めたことを尊重する。そんな文化のある学校でした。ちなみに、高校の先生たちから「女だから」うんぬんと言われたことは一度もありません(そもそも、生徒の名簿も男女関係なく、あいうえお順でした)。
今から思うと、ずいぶん自由奔放なことをやっていました。たとえば物理の授業の時間に、生徒が「先生、今日は野球をやりましょう」なんて提案をするんです。
「授業が遅れちゃうけどいいの?」
「大丈夫です。自分で勉強しておきますから」
みんな自信があるわけです。物理の先生もその気になって、「僕がこの角度でバットを振るから、このあたりにボールを投げてくれ。そうすれば、この方向に打球が飛ぶはずだ」とか言い始める。実際に先生の言ったとおりにボールが飛んで、みんなで「ワーッ」と盛り上がったり。そんなことが日常茶飯事でした。
日本人は質問をしないとよく言われますが、旭丘高校は違いました。自由闊達で向学心旺盛。授業中に「はい、先生!」と挙手する人がすごく多かった。「先生はこう言いましたけど、おかしくないですか?」なんて指摘する人までいるんです。そして、何がどうおかしいのか滔々と説明する。先生は「そうか、最初は何を言うんだと思ったが、なるほどそうだな、お前のほうが正しいかも」とあっさり負けを認めることさえありました。
先生と生徒が対等に話をしていた
先生がある女子生徒に「○○さんは数学が得意だったよね。これ解いてみない?」と投げかけてくることもあった。指名された生徒は、黒板を使ってサーッと解いてしまう。先生は、「さすが。僕は解けなかった」とか言って笑っているんです。また、別の男子生徒は、いきなり授業中に手を挙げて、「先生、公式なんか覚える必要ないですよ。この公式を覚えなくても、こうやって解いていけば、ほら、すぐに答えが出ます。数学を記憶する必要はないと思います」なんて言う。確かにそうだ、と舌を巻きました。
壊れた塀から登校していたのも、忘れられない思い出です。学校を囲む塀がところどころ壊れていて、隙間があったんですね。みんな校門を通らずに、そこから出入りしていた。面白いからという理由で。なんだか型にはまらずパワフル。すごい学校でした。