「宝くじ」を買うということは、純粋な「投資」としては必ずしも割に合わない。一部だけが当籤金として払い戻されて、あとは地方財政の資金などに用いられる。確率的に言えば、「儲かる」期待値は高くない。英語圏では、「宝くじは無知への課税である」という言い回しがあるほどだ。

それでも、宝くじを買うことが幸せにつながることもあるから、人間は不思議だ。まさに、「夢」を買っているとも言えるのである。最初から外れると思って宝くじを買う人はいないだろう。当たったらどうしよう、何を買おう、どこへ行こうとわくわくする。この期待感が脳にいいのである。

「なぜ宝くじを買う人は幸せなのか」。この問いについて考えることを通して、複雑で予測が難しい現代を生き抜くための智慧が見えてくる。現代人にとっての「夢」のふくらまし方である。

脳は、楽観的でないとうまく機能しないようになっている。前頭葉を中心とするネットワークが、ある事実をどのように解釈するかということで、生み出される感情や、採択される行動が変わってくるのだ。

宝くじを買う人は楽観的な思考を持っていると言える。楽観的な人は、結果としてあれこれ考えすぎずにいろんなアクションを起こすことができる。行動を通して、より多くの可能性が舞い込んでくるのである。

森の中で光に向かって伸ばしている手
「行動」「気づき」「受容」の3つが揃ってはじめて、人生を変えるような幸運に出合うことができる。

偶然の幸運に出合うことを、「セレンディピティ」と呼ぶ。セレンディピティには3つの要素がある。「行動」「気づき」、そして「受容」である。

セレンディピティに出合うためには、まずは、とにかく行動しなければならない。次に、何かに出合ったとしたら、そのことに気づかなければならない。最後に、出合ったものがもたらす新しい世界観、価値観を受容しなければならない。行動、気づき、受容というサイクルを回すことで、人生を変えるような幸運に出合うことが期待できるのである。

宝くじを買う人は、行動することに長けていると言える。宝くじ売り場まで行くその道すがら、何か新しいものとの出合いがあるかもしれない。家でじっとしているよりは、運動したほうが健康によい。宝くじを買うような楽観的な態度とそれに基づく行動が、人生を切り開いていくのだ。

さらに心がけたいのが、行動の結果生まれるさまざまなチャンスのフォローアップである。気づきと受容を通して、機会をしっかりと自分のものにしていかなければならない。

せっかく大きなチャンスをもたらす何かに出合ったとしても、そのことに注意を向けなかったら意味がない。人間の脳は、環境に大きな変化があったとしても、そのことに気づかないことがしばしばある。せっかくのチャンスを逃してしまうのだ。新しいことに気づくためには、あまり一つのことばかりにとらわれていてはダメで、心をやわらかく持たなければならない。

(写真=iStock)

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