安倍氏を強く批判していた先輩記者

一方、同じTBSでも全く違う姿勢の記者もいた。ある若手の先輩記者は「私は安倍に『さん』をつけたくありません」と言って、絶対に安倍総理に「さん」をつけなかった。「安倍が悪い」「安倍はありえない」「なぜ安倍が支持されるのか理解できない」その先輩は、強い語調で安倍総理を批判するのが常だった。

もちろん、社内の仲間内だけの話であり、原稿や中継では「安倍総理」と言うのだが、これほど強い思想を持った先輩がいることに驚いたものだった。その姿勢を上司が指導していたところも見たことがなく、ある意味で放置されていたのも印象的だった。

ある別の上司も、政権与党に批判的なスタンスを持っていた。政策や政党の方針に批判的なのはわかるが、その上司は嫌いな政治家の人格を貶めるような発言をすることがあり、私としてはそれが気になっていた。

上司が予言した「女性初の総理」

ある時、「社内でポスト安倍総理は誰か」という話題になった。菅義偉氏や岸田文雄氏の名前が挙がる中で、当時総務大臣だった高市早苗氏も可能性があるのではないかという意見が出た。その時、その上司が言い放ったのが本稿冒頭の台詞である。脚色していない、そのままの発言だ。

いくら政治姿勢に違いがあるからといって、相手を「気持ち悪いやつ」と言ってしまったら、ジャーナリストとして終わりである。「女性初の総理になるのは、野田聖子氏か上川陽子氏だろう」とその上司は言った。

皇居での認証式に向かう法相に決まった上川陽子氏(手前)と総務相に決まった野田聖子氏=2017年8月3日午後、首相官邸
写真提供=共同通信社
皇居での認証式に向かう法相に決まった上川陽子氏(手前)と総務相に決まった野田聖子氏=2017年8月3日午後、首相官邸

2026年、この上司の「予言」は大外れであり、いかに的外れだったかは言うまでもない。偏りある目は記者の目を曇らせ、事実ではなく願望を見せてしまうというわかりやすい例である。

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