だからといって金利を下げられもしない
(3)変動金利と固定金利の選択
国家財政がこのような情勢にある中では、政策金利が1.0%を超えて、どんどん上がっていくというのは想定しにくいと考えられます。
また、個人が住宅ローンを借りる場合、「変動金利の方が固定金利よりも利率が低いから」という理由で、これまでに住宅ローンを借りている個人のうちの75%の人が、変動金利を選択しているという調査結果があります(住宅金融支援機構の2026年1月の調査)。
このようなことなので、国家財政だけではなくて、多くの国民の財政も、金利が上昇すると、とたんに逼迫してしまうのです。
そうであるならば、「これからは、金利は上がらないのではないか、むしろ、下がるのか? それなら、固定金利を選択したら損なのではないか?」ということになりそうです。
しかし、事態はそれほど簡単ではありません。
先の(2)で述べた論理では、日本の政策金利や長期金利は、もうこれ以上は上がらない(いや、上げられない)ということなのですが、では、金利水準が下がるのかと言えば、それも答えは「NO」です。
「9回裏の大逆転」で金利が大暴騰
なぜならば、ただでさえ円安によって輸入物価が上がっていて、それによってガソリン価格や原材料費が上がって、国民生活を圧迫しているのに、ここから金利を下げてしまったら、もっと円安になってしまい、インフレが加速してしまうからです(金利が下がると、通常は通貨安になります)。
しかも、金利が下がれば、ローンを支払いやすくなるということを通して、住宅やその他のモノの値段を押し上げてしまうのです。ですから、輸入物価だけではなく、国内的にも国民の購買力の増進という要因によって、インフレが加速してしまいます。
ですから、これからは金利が下がるのかというと、それもまた想定しにくいというのが実情です。
こう考えてきますと、金利の先行きについては、やはり正確に予測するのは非常に困難です。
ただ、ここまでで述べてきましたように、日本の金利は「上げられないが、下げられもしない」という状況ですので、そうであるならば、「利率が低い変動金利」に依然として軍配が上がりそうですが、ここで「野球でいう9回裏の大逆転」が起こります。
先ほど述べたように、日本の財政は、世界最悪レベルに逼迫していますので、数年とか10年とかという時間軸で考えた場合には、ハイパーインフレに陥ってしまう危険性は排除しきれないのです。
そして万一、ハイパーインフレに陥ってしまったら、金利は大暴騰してしまいます。6%どころか、10%とか15%(または、それ以上)といった未曾有の水準になってしまってもおかしくはありません。

