青木氏はこれには参加せず、石井氏とたもとを分かっている。
首相は、自身に近い旧安倍派の世耕弘成衆院議員(元経済産業相、元参院幹事長)の復党問題で、石井氏が6月の記者会見で「時期尚早だ。非常に自分勝手な判断だ。政治家以前に人として信じられない」と批判したことにも、腹を立てていたとされる。
かくして無役となった石井氏やその周辺は、首相や松山氏への反目を強めている。消費税減税法案などを審議する臨時国会の対応だけでなく、来年秋の総裁選を見据え、首相と距離を置く勢力と連携する可能性がささやかれている。
「財源をしっかり明示してほしい」
その1年後の総裁選をにらんで、閣外に出た林氏が動き始めた。高市首相とは、経済・財政政策や対中国外交をめぐって対照的な立ち位置にいる。今後、政府の方針に縛られないフリーハンドの立場を得たといえる。
首相に批判的な党内非主流派を糾合できるか、そのうえで知名度を上げ、党員・党友票をいかに積み上げていくか、が林氏の今後の課題となるだろう。
林氏は、25年総裁選の第1回投票で、議員票を72票得て高市氏の64票を上回ったが、党員・党友票で高市氏の119票に対し、62票しか得られず、決選投票に進めなかった。このため、地方視察ができる総務相を希望し、1年間で26道府県を回った経緯がある。
9月20日には無役になって初めて地方行脚を再開し、高知市で開かれた、非主流派の中谷元前防衛相の国政報告会に出席した。講演では「10年後、20年後の日本がよい方向に進んでいくためにやっていきたい」と述べ、総裁選への意欲を語っている。
林氏は、同じ財政規律派で、首相に批判的な森山前幹事長にも接触している。9月5日には森山氏が会長を務める鹿児島県連で総務相として講演し、地元関係者との交流を深めた。森山氏は11日のTBS-CS番組で、林氏を「十分に首相を務める能力を持っている」と持ち上げた。
林氏は、閣外に出た9月18日に都内で講演し、首相が目指す食料品の消費税減税について「なるべく混乱なく、マーケットに不測の懸念を与えないよう、財源をしっかり明示してほしい」とくぎを刺した。林氏はかねて消費税減税に慎重な考えを示していたが、それを含む税制改正大綱を総務相退任前に閣議決定したことについて「私も連帯責任を負う」と述べざるを得なかった。
「『責任ある積極財政』は止めたらいい」
林氏にはこんなエピソードもある。首相が7月に食料品の消費税率を8%から1%に引き下げる方針を固めたのを受け、財政規律派の小渕優子元選対委員長が「財源なき減税は無責任だ。デメリットを受ける方への対策がない」と批判して税制調査会のインナーを辞任した際、林氏はいたく共感したらしい。「林政権になったら、小渕財務相だ」「『責任ある積極財政』は止めたらいい」と周辺に語ったというのである。
林氏には、森山氏や中谷氏のほか、官房長官として仕えた石破氏とそのグループ、旧二階派で自らのグループを率いる武田良太元総務相らがエールを送る。党内非主流派の結集軸となる可能性もあるが、「高市1強」に物が言えない空気の中で圧倒的に劣勢なのも事実だ。

