オフィスでは決して実感できない醍醐味
高崎工場に赴任してから私が続けたのは、足繁く現場に通って一人ひとりのスタッフから話を聞くことでした。日々改善を続けていくべき工場にとって、会議で誰も発言しないことほど怖いことはありません。でも、その一人ひとりに直接会って持ち場の仕組みや課題を対等な立場で聞いていくと、胸に秘めた様々な課題や思いを語ってくれるものなんです。
ようやく組織に慣れてきたと感じたのは、そのような対話を続けて半年くらいが経ってからのことでした。これまで静まり返っていた会議で、ぽつりぽつりと意見を言ってもらえるようになり、何かが少しずつ変わろうとしている実感を覚えて嬉しかったものです。
職場の変化を感じられると、やっぱり工場っていいな、って思います。ここには、昨日はできなかったことができるようになっていく新人の子たちがいる、達成できていない項目を示す赤いチェックの入っていたスコアカードが日々緑色に変わっていく。一つひとつの改革や実践が積み重なり、組織力が高まっていく確かな変化を、これほど肌で感じられる場所はないと思うからです。それは本社のオフィスで働いていては決して実感できない醍醐味ですね。