コロナ禍ならではの商品がヒットするも…
現在、自社ブランドの販売を本格化させてから10年目で、社員・パートは19人、売上は5億円に迫る。会社が順調に成長していったと思いきや、実は、「営業利益は赤字という低迷の時期が数年続いた」と、川西さんは話す。
当初、ネット販売ではなかなか売れなかったが、クラウドファンディングでの販売が軌道に乗り、2年目となる2018年の年商は約1800万円に増加。会社を法人化して、内職スタッフをパート・正社員として雇用。組織として本腰を入れ、売上が微増していた矢先の2020年、コロナ禍による外出自粛が始まった。
ところが、同社はコロナによって売上が低迷するどころか、わずか2~3週間で1500万円の売上をたたき出した。開発したキッチンペーパーで作るマスクホルダーが爆発的に売れたのだ。しかし、マスク不足が解消したとたん、瞬く間に商品は売れなくなり、同社は在庫を抱えた。にもかかわらず、川西さんはこの儲けと、コロナ支援金や補助金を合わせたすべての資金を店舗開業に投入するという賭けに出た。
2020年12月、コロナによる外出自粛が強まる最中、高松市に店舗を開店させた。この判断が裏目に出たことは、言うまでもなかった。
品質はいいのに売れない理由は?
「お店を出したら、商品が売れると安易に思っていたのです。経営者として、甘い考えでした。店をオープンした2021年からの1年間は本当にしんどい時期で、地獄でしかなかった」
開店直後の12月、メディアが店舗について記事で取り上げてくれたため、客足が伸び、商品が売れた。ところが翌月には客足は遠のき、店は閑古鳥に。借入金で確保していた手元資金が、毎月100万円単位で減っていった。
藁にもすがる思いで、売上につながることは何でも試した。クラウドファンディング、百貨店催事、イベントへの出店、ふるさと納税、ヤフーショッピング、店舗での接客。だが、売れなかった。品質はいいのに、売れない。
売れない理由は、圧倒的なネームバリューのなさだった。
「知らない人間が知らないカバンを売っている。そういうカバンは品質が良くても、値段を下げても、誰も買いませんよね。当たり前のことをこの時、痛感しました」
無名のカワニシカバンを知らしめるには、どうすればいいのか。川西さんが考えた手段が、インスタグラムとYouTubeでの動画配信だった。

