7年目、他社も褒める動画がバズった

「地獄の2021年」からの復活を可能にしたのが、翌2022年4月に再始動したYouTubeチャンネル「カワニシカバンの休日」だった。

カワニシカバンのYouTubeチャンネルは9月に登録者数15万人を突破した
カワニシカバンのYouTubeチャンネルは9月に登録者数15万人を突破した

「メチャ、可愛いもん、コイツは」と、創業当時のメンバーがキナリノの帆布製の「minimon(ミニモン)」を斜め掛けして言うと、もう一人が小ぶりな「abb(アベベ)」を手に取り、「使えば使うほど、色あせたり、寄れたり、角が白くなってくる。それが、いいんです」と愛着を見せる。

そんな商品のお気に入りを香川弁で語り合う女子トークの回もあれば、ユニクロや無印良品、ワークマンなど他社製品を、川西さんが職人目線で見立てる回もあり、内容は飽きることがない。2023年3月に投稿したユニクロの回は再生回数155万回、同年7月のワークマン動画は174万回を記録し、バズった。

そして、YouTube登録者数が1万人を超えると、自社商品の売れ方がガラッと変わった。

視聴者を釘付けにする訴求力によって、登録者数は今年8月、15万人を超えた。と同時に、売上も過去最高の4億4600万円を記録した。

「ファンを作ろう」とは考えていない

2021年からインスタグラムでのライブ配信も毎日続けた。「カバンには関係ない話をグダグダ話すだけ」で見ている人は0人という時代もあったが、少しずつ視聴の輪が広がっていった。

「視聴者を増やして、ファンを作ることを目的に配信しているわけではないんです。カバンもそうですけど、洋服やアクセサリーも、ものづくりの現場では機械でなくて手作業で作られているっていうことを、もっと多くの人たちに知ってもらいたいんです。そのために『ものづくりエンターテインメント』として情報発信し続けた結果、ファンとの強い関係が生まれたのだと思います」

自身の強みは「うそをつかないこと」と話す
撮影=プレジデントオンライン編集部
自身の強みは「うそをつかないこと」と話す

カバン作りは「底辺の仕事」と言われたこともあった。従業員が「大した仕事していないよね」と家族に言われたと悔しながらに話したこともあった。自身の経営者としての甘さに涙を流したことも数知れない。さまざまな経験がカワニシという経営者を育て、カワニシカバンの価値を築き上げるまでの糧となったという。