運営党員が公認候補を決めるはずが…
篠原は、党員が候補者を選ぶ理念を実現するため、一般党員より多く党費を納める「運営党員」による候補者審査の制度を提案した(一般党員の月額1000円に対して、運営党員は2500円)。国政選挙や地方選挙の党公認候補を決める際は、候補者の経歴や3分ほどのスピーチ動画などを見て、運営党員の投票によって公認候補を決める「党内予備選挙」を実施する。運営党員の3分の2以上が賛成しなければ公認しない非常に民主的なルールだ。
「当時の運営党員は400人ほどだったと記憶しています。運営党員は公認候補の決定だけじゃなくて、党の政策会議で決定した政策案についても、最終的に承認するかどうかの意思決定に参加する投票権を持ちます。自分が党を動かしているという実感を与える仕組みでした」
だが、当初から国政選挙の公認候補を決める予備選は行われず、現在では候補者は公募され、党本部の審査によって公認が決まるプロセスが完全に定着している。篠原がつくったルールは最初から形骸化していたのだ。
「神谷も最初は、議員が主役の古い政党ではなく、党員が候補者を選んで、議員はその活動を支える党を構想していたんです。だけど、神谷自身が自分の構想から逸脱していった」
月1000円課金する「サブスク政党」
候補者審査の制度は形骸化したが、篠原は、政党運営に必要な「継続して入ってくる資金の確保」を成し遂げる、卓越したシステムをつくった。
「人間は、お金を払ったものを支持するんですよ。政治に払う金は、その人の支持の気持ちです。だから、お気に入りのサブスクやゲームに月1000円を課金しても気にしないでしょ。毎月お金を払うと帰属意識がつくんです。実際、それで党の資金面はうまくいきました。
僕が共産党で知ったのは、名簿上の党員数と実際に党費を払う党員数の隔たりです。共産党は支部で現金を集めるやり方で、滞納や年末のまとめ払いが頻発していた。そこで参政党では、月額1000円の党費(一般党員)をオンラインで自動的に納付する仕組みをつくったんです。これで滞納も取りっぱぐれもない。サブスクにして大成功でした。
党費は既成政党より高く設定しました。自民党の一般党員が年4000円程度なのに対して、参政党は年1万2000円と3倍です。それでも月1000円なら『ソシャゲに課金するのと同じ感覚で払える』と踏んだんです。要するに党費の自動決済と党員資格を紐づけた。動画を見たその場で参政党のサブスクに入れば視聴者が党員になれます。退会手続きをしないかぎり党費は入り続け、党員は『自分が支えている党』というアイデンティティを毎月強くしていくんです」

