党員の「倍々ゲーム」で比例は742万票に
参政党の組織運営やシステムづくりを主導した篠原だったが、積極的に地方に出向き、党員との食事会を重ね、新潟、長野、福岡、神奈川などに顔の見える支部をつくった。
「党員は予想を超える速さで増えた。よく神谷と『1000人に届くのはいつかな』と話していたんだけど、わずか数カ月で到達した。1000人から1万人になるまでは、さらに速かったですよ。1万人を超えたら倍々ゲーム。共産党では党勢拡大に苦労したのに、オンラインのサブスクだと、こんなに早く広がるのかと驚きました」
その後、2022年の参院選の比例区で約176万票を得て神谷が初当選し、2023年の統一地方選では100議席を獲得。地方議員は124人に増えた。続く2024年の衆院選では比例3議席、2025年の参院選では比例票を約742万票まで伸ばした。ネット発の小政党は、わずか3年で、国政で存在感を示す勢力となった。
「ポスターを貼り、街頭に立ち、候補者を当選させる。党員は選挙を楽しんでいるんですよ。ただ、仲間外れになるのを恐れて、異論を言えずに飲み込む空気もあったのは確かです」
会社や家庭で政治を語る場所がない人にとって、参政党は自分の不安や意見に耳を傾けてくれる共同体だった。党員の属性は多種多様だ。演説会場には、中小企業経営者や自営業者、介護職など、様々な職業の人がいた。必ずしも貧困層ではない。多額の税金や社会保険料は取られるのに、政治から尊重されていないと感じる中間層だ。
参政党のイメージカラーのオレンジ色の服を着て、オレンジ色の旗を振り、出自も職業も異なる見知らぬ党員たちと声を合わせた。
「コロナワクチンは殺人兵器」
2022年の参院選最終日、東京・芝公園で行われた参政党のマイク納めは異様な熱気に包まれていた。壇上でマイクを握るのは、比例候補の赤尾由美だった。
「このコロナ禍はプラン(計画)されていた、プランデミック(計画された世界的流行)だったといわれているんです!」
「国民を恐怖でコントロールする。経済を崩壊させる」
当時、参政党代表で元衆院議員の松田学の主張は、さらに過激だった。
「コロナワクチンは殺人兵器!」
「正確な医学的・科学的知識に基づいた情報を発信すると言論弾圧の対象になる。知られてはまずい事実がある」
参政党の陰謀論に呼応したのは、一部の特殊な人たちだけとは言い切れない。そこには、子供の健康への懸念やコロナ禍で仕事を失ったことへの怒り、さらにワクチン接種を当然とする社会の空気への反発を抱える人々が少なからず存在した。

