40代の危機を乗り越えやすい人の特徴
では、反対にミッドライフクライシスを比較的うまく乗り越えられる人には、どのような特徴があるのでしょうか。
分析では、外向性が高い人ほど、中年期の幸福度の落ち込みが小さく、その後の回復も早いことが明らかになりました。
外向性が高い人というと、「社交的で明るい人」というイメージを持つ人が多いでしょう。
もちろん、そのような側面もあります。しかしパイパー講師らは、それ以上に重要なのは「一人で抱え込まないこと」だと考えています。
外向的な人は、悩みや不安を家族や友人、同僚に打ち明けることへの抵抗が比較的小さい傾向があります。助けを求めることも苦になりません。さらに、自分が支えられるだけでなく、他人を支えることにも積極的です。
こうした人とのつながりが、40代から50代に訪れるさまざまな困難を和らげ、幸福度の急激な低下を防いでいる可能性があります。
近年、幸福度研究では「人とのつながり」が幸福を左右する重要な要因であることが繰り返し報告されています(*3)。今回の研究は、その重要性を改めて示した結果ともいえるでしょう。
「ストレスに弱い人」のほうが落ち込みにくい
さらに意外だったのが、神経症傾向に関する結果です。
神経症傾向とは、不安を感じやすい、落ち込みやすい、ストレスを受けやすいといった性格特性を指します。一般的には、この傾向が高い人ほど幸福度は低いことが知られています。
そのため、多くの人は「中年期にはさらに幸福度が下がるだろう」と予想するはずです。
ところが実際の結果は、その予想とは逆でした。
神経症傾向が高い人は、もともとの幸福度こそ低いものの、中年期における幸福度の低下は比較的小さく、回復も早かったのです。
なぜ、このような現象が起きるのでしょうか。
パイパー講師らは、「ストレスへの慣れ」が影響している可能性を指摘しています。若い頃から不安やストレスを感じやすい人は、困難への向き合い方を長年の経験の中で身につけています。
そのため、40代になって仕事や家庭で負担が増えても、「人生にはこういう時期もある」と受け止めやすく、幸福度の落ち込みが比較的小さくなるのではないかと考えられるのです。
もちろん、これは現時点では一つの仮説にすぎません。それでも、「ストレスに弱い人ほど40代では強い」という逆説は、この研究の興味深い発見の一つといえるでしょう。