もう一つの注目はココナッツミルク
血管内皮細胞の保護作用についての研究を続けるうちに、ココナッツオイルなどに含まれる「中鎖脂肪酸(MCT)」も熱中症対策の強力な味方になることがわかりました。通常、脂肪がエネルギーに変わるプロセスは熱に弱い酵素に依存していますが、中鎖脂肪酸はそのプロセスをスキップして、効率よくミトコンドリアの燃料になってくれるのです。
実際、夏場の気温が42℃を超えるような米国アリゾナ州の過酷な地域では、人々は経験的にココナッツウォーターやココナッツオイルを愛用しています。私も夏にアリゾナのスーパーマーケットに行きましたが、さまざまな種類のココナッツウォーターが目立つところに陳列されていました。科学的なエビデンスが、先人たちの知恵を裏付けた形です。
ただし、中鎖脂肪酸は熱に弱く、揚げ物を揚げるような温度では使えません。高温調理に使うと酸化・分解してしまい、本来の効果が失われてしまうのです。また日本では、普段の食事にココナッツを取り入れる習慣はありません。
そのため、実用的な摂取方法としては、MCTオイルを食品や飲み物に混ぜるか、ソフトカプセルに封入するかのいずれかになります。スムージーやコーヒーに数滴加える方法は、手軽に日常的な摂取を続けやすいやり方です。そこで比較的豊富に中鎖脂肪酸を含む食品としては、牛乳、バターなどがあげられます。また、高齢者向けの栄養補給剤にも中鎖脂肪酸が含まれていることが多く、医療・介護の現場でも活用されています。


