スーパーが銀行と組む狙いは
平和堂は20254年、三菱UFJ銀行と連携し「HOP BANK」のサービスを始めた。スーパーが銀行と組む――。一見すると意外な組み合わせに映る。しかし実は、この取り組みには平和堂の将来像が色濃く表れている。
例えば子育て世代の家庭を考えてみたい。平日は仕事帰りにフレンドマートへ立ち寄り、牛乳やパン、総菜を購入する。休日にはアル・プラザで子どもと過ごしながら買い物を楽しむ。HOPアプリでクーポンを受け取り、ポイントを利用する。
さらに給与振込口座や資産形成サービスなど金融面でも接点が生まれれば、顧客との関係は買い物の瞬間だけではなくなる。
もちろん平和堂の狙いは金融サービスそのものではない。重要なのは、生活全体のなかで顧客との接点を増やすことである。
スーパーは通常、商品を購入する時だけ顧客と接する。しかし金融サービスが加われば、家計管理や資産形成といった場面にも接点が広がる。HOP BANKには、「商品を売る企業」から消費と家計の両面から「暮らしを支える企業」へ進化しようとする平和堂の意図が見える。
なぜ富山に注目しているのか?
平和堂は2027年2月期に、アルプラ フーズマーケット富山掛尾とアルプラ フーズマーケット高岡を出店する予定だ。
平和堂は既に北陸エリアで店舗を展開している。今回の出店は、新たな地域への進出というより、北陸におけるドミナント戦略をさらに深める取り組みと位置付けられる。
人口減少時代において店舗は単なる販売拠点ではない。顧客との接点そのものだ。平松正嗣社長は北陸エリアについて、金沢市や富山市周辺に着目していると説明。人口減少が進む日本では、どこに店を出すか以上に、どの地域で顧客との関係を深められるかが重要になる。
今回の出店も売上高を追うための店舗開発というより、北陸エリアでの顧客基盤をさらに厚くするための投資と見るべきだ。第5次中期経営計画で掲げる「ドミナント戦略をベースとしたHOP経済圏の拡大」は、既存商圏を深掘りすることで実現しようとしている。
