難しい30〜40代マーケット

スーパーにとって30〜40代は極めて重要な顧客層だ。子どもの成長に伴って食料品や日用品の購入量が増える。来店頻度も高い。さらに子育てを通じて生活スタイルが変化するため、長期的な関係を築きやすい。

しかし現在の子育て世代は、かつてとは置かれた環境が大きく異なる。共働き世帯は増えた。家事や育児に使える時間は限られる。教育費や住宅費の負担は重い。そこへ物価上昇が追い打ちをかけている。

消費者は価格を重視する。しかし安さだけでは選ばれない。品質も必要であり、利便性も求められる。平和堂が第5次中計で掲げる「子育てニーズ対応」とは、単に若い世代を取り込もうという話ではない。生活者の変化に合わせて、店そのものを変えようという挑戦なのだ。

食品フォーマット改革が目指すもの

その象徴が食品フォーマット改革だ。平松正嗣社長は食品フォーマット改革について、「売場×商品(品揃え・価格)×人(教育)」を一体で設計する取り組みと説明する。

私は近年、滋賀県内を中心に複数の平和堂店舗を視察してきた。そこで感じるのは、以前よりも売場の意図が分かりやすくなったことだ。

例えば仕事帰りの夕方、共働き世帯の買い物客は限られた時間で夕食の準備をしなければならない。青果売り場で野菜を選び、総菜売り場で一品を追加し、冷凍食品売り場で翌日の弁当用のおかずを購入する。買い物にかける時間を多くは避けない共働き世帯も増えている、

総菜売場①
写真提供=平和堂
総菜売場

平和堂の食品フォーマット改革は、こうした生活者の行動を前提に売場を再設計する取り組みでもある。

青果、総菜、冷凍食品。共働き世帯の利用頻度が高い売場の訴求力が増している。かつて総合スーパーには「何でもあるが選びにくい」という弱点があった。現在の平和堂は、必要な商品を探しやすい。買い回りしやすい。短時間で買い物を終えられる。当たり前のように聞こえるが、この当たり前を高い水準で実現することは簡単ではない。

平松社長は「特別なことではなく、あるべき品揃え、あるべき売場をつくることが重要だ」と語る。派手さはない。しかし、小売業は日々の積み重ねで成り立つ産業だからだ。

青果売場
写真提供=平和堂
青果売場