家族・子どもには期待しない

予期せぬ養育費の連帯保証人、不本意な同居は、一見すればトラブルの元であり、家族不和に発展しかねない。だが、それでも受け入れてしまうのは、親の心のどこかで自分の老後を子どもに期待しているからではないだろうか。

太田さんの印象では、シングルの人や子どもがいない人のほうが自分介護をしっかり考えている傾向があるそう。やはり、介護に関してはどこか子どもに期待してしまっている親世代の存在が浮かび上がる。

「『もし、寝たきりのような状態が長く続いたとき、どのようにしたいか』という東京都の調査(※)があるのですが、施設入所や介護サービスの利用を希望する意見は女性で多いのに対し、男性は『家で家族だけで世話をしてもらいたい』という意見が、女性の2倍以上もあります。

家族は助け合い、支え合うもの。そんな家族の“幻想”を押しつけようとしても、うまくいきません。そもそも家族だけで介護は無理です」

※東京都健康長寿医療センター「中高年者の健康と生活」

太田差惠子さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
太田差惠子さん

ましてや老後は長い。その間に、子の人生にもさまざまなことが起きる。

「いま配偶者やパートナーがいても、将来的には、どちらかが先に逝きます。子どもがいても、遠方だったり、現在の同居家族のさまざまな事情を抱えているかもしれません。病気や離婚、リストラなどで、親のことどころではなくなるケースもあるでしょう。『子どもがなんとかしてくれる』と楽観せず、公的な支援、サービスをうまく使いこなしていくことを自分なりに考えておきましょう。あてにすると、子どもは逃げ腰になる。適度な距離を保つことが双方の幸せにつながることもあります」

「できる・できない」を共有しておく

では、親としては何をしておいたほうがいいのか。

「自分介護と言っても、もちろん全部自分でできるわけではないし、できることを自分でやって、できないところを誰にお願いするか考えておくことが大切です。

まずは介護保険制度の基礎知識を知り、サービス利用を前向きに捉えましょう。いまの80代後半以上の世代は、サービスを利用することに後ろ向きです。結果、家族だけで介護を行い、子どもが病気になったり、介護離職になったりするケースもあります」

車いすを押す介護者
写真=iStock.com/b-bee
※写真はイメージです

親としては、子から「サービスを使って」とは、あなり言われたくないセリフだろう。

「その気持ちもわからないわけではありません。子から言われたくないなら、自分で情報を入手して、どうしたいかを考えておきたいものです」