「終活」よりもずっと大事な「自分介護」の準備
60代~70代に向けて、いわゆる終活本が流行っている。お墓やら葬式やら遺言やら生前整理をしておくという内容だ。つい手にとってしまいそうなものだが……。太田差惠子さんは「終活の前に、まず自分が介護される側になるという想定が抜け落ちています」と言う。
「認知症になる可能性もあれば、寝たきりのような状態が長く続く可能性もある。死ぬまでの何年間か、介護が必要になるかもしれないのに、そこをすっとばして、先に死後の心配をする人が多いです。確かに、財産やお墓のことで残された家族が困るケースもたくさん見てきましたが、いずれ自分自身の心身が弱っていくという現実からは目を背けないほうがよいと思います」(太田さん、以下すべて同)
太田さんは「頼れる人がいてもいなくても、できることは自分で準備しておく方が良い」という。さらに、自宅で介護サービスを受けたり、もしかしたら施設に入ることも想定し、家族と話し合っておくことも重要とも話す。
不本意な施設に入れさせられる
例えば、自分自身、あるいは親子、夫婦間で『ひとりでトイレに行けなくなったら施設ね』と決めておくのも良いだろう。
自分の希望や事務手続きに必要な事項は、先んじて書き出しておくとよいのかもしれない。
「『これ以上、在宅で支えるのはムリ』となると、子が(子のいないケースでは甥や姪など)、住み心地やその人らしさは二の次に、施設をさがしてとりあえず空いているところに決めるでしょう。それほど、家族に介護が必要となると、切羽詰まるのです。
でも、もし当人が事前に自分でちゃんと施設を調べて、見学もして、支払いも問題ないとわかったうえで希望を伝えておけば、家族や親族は、可能な範囲でそこに向かって動いてくれるでしょう。結局は『どうしたいのか』『何ができるか』を当人が明確にしておくこと。それが自分介護の基本です」