老親にとって、もっとも避けたいこと

自宅か、施設か、自分らしく過ごせる終の棲家をどう想定するか。そこにもうひとつの選択肢、「子どもと同居」が浮上することも。子どもが親のためを思って提案してくれたものの、親にとっては「ありがた迷惑」なケースもあるという。

「子どもから『同居しよう』と言われて、断ることができずに同居した結果、自分らしい老後どころじゃなくなったという声は案外多いです。

愛着のある我が家に息子家族が住み始めて、いい部屋は孫たちに譲らざるをえなくなる。結果的には、自分の意志とは関係なく、日当たりの悪い北側の部屋を使うことになったり、老人ホームに入ることになったり。言葉は悪いですが、結果として、家も財産も息子一家にすべて乗っ取られたような人もいました」

撮影=プレジデントオンライン編集部
太田差惠子さん

ひとり暮らしにやや不安を感じてはいるものの、自分のペースで暮らせるなら……。やたら年寄り扱いされるのも腹が立つし、孫の面倒まで押しつけられたらたまったものではない。断ることはできないものなのか?

「老親にとって、もっとも避けたいことの1つは、子どもとの関係がこじれること。同居の提案は、長男意識の強い息子から老母に行われるケースが多いです。親とすれば、せっかく息子が親孝行な気持ちで同居を提案してくれるのに、無下に断れない。ある意味、子どもから同居を提案されることは『踏み絵』のようなものなのでしょう」

「何もしないで!」と怒鳴る娘

ケース2 家族と一緒でも孤独を感じる老後

地方に住む70代のYさん、足が弱ってきてはいるものの、自立した生活を送ってきた。都市部に住む40代の息子から同居を提案され、悩んだ挙句、同居することに。『今断ったら、具合が悪くなったときに二度と言ってもらえなくなる』と、多少の計算も働いたという。

息子夫妻は共働きで忙しく、中学生の孫も手が離れている。慣れ親しんだ土地を離れ、周囲に友達もいない。家族と暮らしていても孤独で寂しい。自分の居場所がない家で、泣きながら後悔する日々だと言う。

息子のケースと違って、母親と娘の場合はどうだろうか。嫁とはうまくいかなくても、実の娘ならば……と思いがちだが、逆にアタリがきつくなる可能性も高い。

夜にストレスを感じる女性
写真=iStock.com/pocketlight
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ケース3 役立たず扱いされる苦悩

要介護1の母親(80代)に、娘(50代)が同居を提案。『少しでも役に立ちたい』と、家事を手伝おうとする母。ところが、皿洗いをしても油汚れがついたまま。洗濯物はシワシワのまま干し、娘からすれば二度手間に。『やらないで!』『じっとしてて!』『何もしないで!』と怒鳴る日々。

実の母娘だからこそ遠慮ない言葉をぶつけてしまう。母の動作がいちいち遅いことも、忙しい娘を苛立たせる。母は主婦で家事をすべてこなしてきただけに、プライドが傷つけられる。まるで役立たずと娘に罵られているようで、精神的に参ってしまったという。