別居の方が幸せだったかも
「結構多いんですよ、母と娘の同居では。たぶんこのケースで言えば、別居したままで、訪問なり通所なりの介護サービスをたくさん受けていたほうがお母さんは幸せだったというか、心穏やかに暮らせたかもしれませんね。年齢を重ね、子ども家族のペースに合わせて生活することはなかなか難しい。家族にとって“迷惑な人”になってしまうと、悲しいですね」
もちろん、親と子の同居がうまくいく場合もある。ただ、どちらかが自分らしさを失ったり、時間やお金の損失に不満を感じるような同居生活は、やがて破綻しかねない。別居・遠方のほうがうまく回るケースもたくさんあるという。
子どもとの同居は、「万が一の安心感」と「想定外の孤独やストレス、プライドの消失」を天秤にかけて、慎重に考えたほうがよさそうだ。そして、同居を選ばないとすれば、介護の必要度合いが高まれば、施設という選択肢は、より現実味をおびてくることになる。
100歳まで生きることを想定すべき
老後は思う以上に長い。亡くなる人がもっとも多い年齢は、厚生労働省の令和6年簡易生命表によれば、女性は92歳、男性は88歳だ。
「2050年には100歳以上の方が47万人にもなると予想されています。105歳くらいまで生きると想定して、自分らしさを失わずに生きるためにはどうすればいいかを考える必要があるでしょう。なるべく、介護を寄せ付けないからだを作るために、生活習慣を見直すとか、運動するとか。それでも、介護が必要になったら、最期まで自宅で過ごしたいのか、施設に入りたいのか。自宅ならあと数十年維持できる家かどうか。そのとき、誰にサポートしてもらうのか、など具体的に考えておきたいものです」
100歳ともなれば、子も、そろそろ後期高齢者だろう。いま、配偶者やパートナーがいても、また子がいても、そのとき頼れるとは限らない。
1972年生まれ。千葉県船橋市出身。法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。2010年4月より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始。2016年9月より東京新聞の放送芸能欄のコラム「風向計」の連載開始。テレビ「週刊フジテレビ批評」「Live News イット!」(ともにフジテレビ)のコメンテーターもたまに務める。
京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。「遠距離介護」「高齢者住宅」「仕事と介護の両立」などの情報を発信。AFP(日本FP協会)の資格も持ち「介護とお金」にも詳しい。一方、1996年遠距離介護の情報交換場のNPO法人を立ち上げて子世代支援(~2023)。著書に『親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと 第4版』『高齢者施設 お金・選び方・入居の流れがわかる本 第3版』(以上翔泳社)『遠距離介護で自滅しない選択』(日本経済新聞出版)『知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門第2版』(共著、KADOKAWA)など。
