老後が崩壊した「おふくろのために」

家族やきょうだいの問題で、ときどき浮上するのが長男優先主義の母親である。ひとり暮らし、あるいは結婚していたが離婚してシングルになった息子が突然転がりこんできて、居ついてしまうケースもあるという。

「たいていこういう場合、『おふくろのために戻ってきた』みたいなことを言うんです。『老後の面倒は見るから』と。そのくせ、家事をしない。生活がどんどん浸食されていくものの、おふくろのためなんて言われると受け入れるしかない。それこそ自分の老後の計画をたてようとしても、子どもによって妨げられることがあります」

ケース2 毎日孫の世話で、老後の人生設計が狂い始めた

Fさん(60代)はシングルマザーで息子を育て、定年まで働き詰めの生活だった。これからは旅行にも行きたいし、今までできなかったことにも挑戦したい。貯蓄もそれなりにあって、第二の人生と思っていたら、息子が離婚。幼い孫を連れて家に戻ってきたという。

正直、孫の世話も週1回なら喜んでやるが、毎日はやりたくないと言うのがFさんの本音。老後の人生設計が一気に崩れ、この生活は孫が成人するまで続くのかと思うと、暗澹たる気持ちに……。

自分の許容範囲を超えることを頼まれるのはキツイ。「家族なら当然」という甘えを断ち切り、どこかで線引きしたほうがいい。これは介護にも通じることだ。

70代で600万円のリフォームはありか

親が「したいこと・やりたいこと」を子どもが猛反対するケースも多々ある。親が詐欺にひっかかっているのではないかと心配したうえでの反対もあれば、子どもからすれば無謀や無駄に見えることもある。

ケース3 水回りのリフォームに息子が猛反対

74歳の女性Gさんが、かねてからやりたかったのはキッチンのリフォーム工事だ。「100歳まで生きるとして、あと25年。快適に暮らしたい」という気持ちだった。ところが、離れて暮らす息子(50代)から猛反対されたという。リフォーム代が全部で600万円という点にひっかかったようだ。

台所で昼食の準備をしているアジアの女性
写真=iStock.com/kohei_hara
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「いまさら新しくしてどうする? ムダでは?」と責められたものの、別に息子に負担させるわけでもなく、自分で払うのだから関係ないと、敢行。結果、長年の不便や不具合が解消され、心が晴れ晴れしたという。

「長く住んできた家の水回りは、確実にリフォームが必要になります。自分で立てた人生設計を、自分のお金で行うことに、何の問題があるでしょう。

それで使い勝手や生活動線がよくなって、QOLが上がるのなら、賢明な判断だと思います。ただし、子どもにお金を出させるようなことは絶対NGです」