真水は貴重な資源

地球は「水の惑星」と呼ばれるが、水の大半は海水で、真水はわずか0.01%に過ぎない。日本に住んでいると気づきにくいが、真水は貴重な資源なのだ。一方で、世界の人口は急増している。2025年に82億人だったが、国連の予想では2050年には97億人に達する。

国連の調査では現在も約20億人が安全に管理された水を飲むことができないが、2050年には慢性的な水不足に悩む人の数が40億人に達する。このまま何もしなければ、多くの人々が貴重な真水を奪い合うことになってしまう。海水淡水化プラントの建設は、人類にとって喫緊の課題なのだ。

淡水化ポンプが新興国の発展に寄与

酉島製作所は1919年、藤田鉱業(現・DOWAホールディングス)のポンプ・水車の製作工場として設立された。現在の大阪市此花区酉島町にあったことからこの社名となった。現在、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のあるあたりだ。

当初は鉱業・農業用のポンプを生産していたが、戦後はポンプの大型化を進め、発電所向けなどで実績を積み上げた。1970年代に入りオイルショックの影響で国内市場が低迷すると、中近東やアジアへの輸出に注力し、サウジアラビアの海水淡水化プラントやタイの上水道設備など大型施設への納入を進めていった。

その後も海外展開を進め、海水淡水化プラント用ポンプは中東諸国に加えてアジア、アフリカ、中南米、オセアニア等に設置されている。直近の同社の海外売り上げ比率は62%に達する(2025年3月期)。

2022年にサッカーワールド杯が開催されたカタールは、経済発展が著しく人口が急増している。首都のドーハに人口に80%が住んでいるが、酉島製作所はそのドーハ市内のすべてのかんがい施設でポンプ設置工事を請け負った実績を持つ。

同社はカタールにポンプの保守点検サービス拠点を持つことから、設備建設後も安定的なビジネス展開が見込める。

これから成長が予想されるエリアは北アフリカだ。太陽光・風力発電で電力を確保しやすくなった北アフリカの国々は海水淡水化プラントで真水を増産して、農業生産を拡大させようとしている。

田宮寛之『日本人が知らない‼ 世界シェアNo.1のすごい日本企業』(プレジデント社)
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酉島製作所はさまざまなポンプを開発し、地球全体の水不足解消や新興国の経済発展に貢献している。同社のポンプへの需要は高まるばかりだ。

国際情勢の混乱は続き、今後も株価は乱高下するだろう。もし、暴落したとしても、狼狽して投資戦略を変更することは禁物だ。世の中の大きな流れが変わらないならば、必要とされる企業も変わらない。

今後、インフラの老朽化はどんどん進行するし、巨大地震の可能性が低くなることもない。新興国は豊かになるための投資を止めることはない。狼狽売りをすれば後で悔やむだろう。