ファブレスメーカーであり、施工子会社を持つ
油圧式の杭圧入引抜機を製造するのは他社でもできる。そのため、当初は大手メーカーや商社など20社以上が参入した。しかし、ほぼすべてが撤退した。
サイレントパイラーは販売すれば終わりではなく、販売後のメンテナンスや修理が重要であるし、操縦者への技術指導も必要なのだ。単に機械を稼働させれば杭を押し込めるのではなく、地盤の地質によって操作法を変えなくてはならない。他社は販売後に顧客をサポートできなかったのだ。
研究開発に注力し圧入技術の改良を進めながら、顧客へのサポートを充実させるのは容易なことではない。他社ができなかったことを技研製作所ができたのには2つ理由がある。
第1の理由は技研製作所が自社では製造をしないファブレスメーカーであること。製造は(株)垣内などの機械メーカーに任せて、自らは技術開発や顧客サポートに力を注ぐことができる。
第2の理由はグループ内に施工子会社を持っていること。開発した技術が役立つのかどうか、子会社の(株)技研施工が実際に新技術を使って工事することで確かめる。不具合があれば、実際に施工した者が技研製作所の技術者に伝える。実験室内の模型実験ではなく、実際の施工から得た情報が貴重であるのは言うまでもない。
コンクリート補強繊維で世界シェアトップ
世界シェアトップを誇るインフラ関連企業の2社目は、岡山県倉敷市に本社を置く萩原工業(7856)だ。同社が製造するコンクリート補強繊維「バルチップ」は世界55カ国の構造物に採用されている。
コンクリートの補強材はスチール製ファイバーが一般的だが、バルチップは合成樹脂でできている。コンクリート補強材市場での同社の世界シェアは20%程度だが、合成樹脂製に限れば同社の独壇場だ。低価格・低品質のものは出回っているが、萩原工業のライバルにはならない。
用途によってバルチップのサイズはさまざまだが、建築用途の標準規格の場合、長さ30ミリメートル、直径0.7ミリメートルの細長い棒状になっている。これをコンクリート1立方メートルあたり3.64キログラム混ぜるとコンクリートの耐久性が飛躍的に向上する。
スチール製ファイバーとは違い合成樹脂なので錆びることがなく、コンクリートを劣化させることもない。
従来、コンクリート製構造物を建造するときは鉄筋を組み、そこにコンクリートを流し込んでいたが、コストがかさむし作業員の負担が大きかった。バルチップ工法では鉄筋が不要なので従来よりも工事期間とコストを低減できる。トンネルや倉庫の土間、鉄道軌道の枕木の下、道路舗装などに使用されている。
萩原工業はバルチップを工事会社へ単に提供するのではなく、導入から施工、メンテナンスまで、さまざまな場面でサポートを行って顧客からの信頼を勝ち得ている。
以前は海外で使用されるバルチップをインドネシア工場で生産していたが、2022年にパラグアイに子会社を設立し、2023年から製造を開始した。当面は隣の経済大国ブラジルへ供給するが、将来的には周辺国への供給も目指している。
海水淡水化ポンプを100カ国以上に納入するポンプメーカー
3社目は、日本を代表する総合ポンプメーカー・酉島製作所(6363)である。同社はさまざまな種類のポンプを製造しているが、その中でも海水を真水にするプラントで使用されるポンプでは世界シェア1位。
海水を真水にする方式には、海水を熱して水蒸気を集めて真水にする「蒸発法」と海水を特殊なフィルターに通して塩分を取り除く「逆浸透膜法」の2つがある。同社はいずれの方式でも40年以上の豊富な実績を持ち、「海水淡水(真水)化プラント」に用いられるすべてのポンプを製造することが可能だ。
近年主流となっている「逆浸透膜法」では直径がナノメーター級の微細な穴を有するフィルターに海水を通さねばならず、海水を押し出すポンプは大きなパワーを必要とする。同社のポンプは海水淡水化プラントの心臓なのだ。
