マイクロソフトの「成長マインドセット」
この理想形に近づきつつあると考えられるのが、マイクロソフトの事例です。同社はサティア・ナデラCEOの下、「GrowthMindset(成長マインドセット)」を組織文化の中心に据えました。
具体的には、組織の意識を「Know-it-all(すべてを知っている人)」から「Learn-it-all(すべてを学ぶ人)」へ変えることを掲げ、単なるスローガンに留まらず、人事評価の項目に「個人の成果」だけでなく「他者の成功にどれだけ貢献したか」を組み込むことで、学習と共有をしくみとして定着させました。
そして、「モバイルファースト、クラウドファースト」への大胆な戦略転換に伴い、一部職種における必要スキルの定義を刷新し、大規模なリスキリングと役割の再定義(ロールシフト)を断行しました。
たとえば、INTREPIDのケーススタディによると、グローバルの営業職約1万5000人に対しては、従来の「IT管理者に製品スペックを売る」手法から、「ビジネスの意思決定者に課題解決を売る」手法への転換を促す大規模トレーニングを実施。また、社内IT部門においても、サーバー管理中心の業務から「DevOps」や「アジャイル開発」といったクラウド時代のスキル習得を支援し、数年がかりで役割転換を進めました(*)。
*INTREPID “Microsoft Transforms Global Salesforce with Cohort-based Learning”
もちろん、完璧な状態ではありませんが、常に学び、進化し続ける姿勢こそが、この成長サイクルを回す鍵であることを示しています(*)。
*HARVARD BUSINESS REVIEW “How Microsoft Uses a Growth Mindset to Develop Leaders”、London Business School “Satya Nadella at Microsoft: Instilling a Growth Mindset”
3つの人材マネジメントモデルを比較する
スキルベース組織のインパクトをより深く理解するために、本稿では従来型の「メンバーシップ型」「ジョブ型」と、「スキルベース型」の人材マネジメントが具体的にどう異なるのかを概観します。
とくに「採用・定着」「配置・育成」「評価・処遇」という人材マネジメントの主要なプロセスにおいて、その違いは明確に表れます。

