記憶のメカニズム解明が待たれる
世の中は情報にあふれている。科学の世界でも怪しい論文も含めて日々大量の情報が流れてくる。それらを全て網羅することは到底不可能だし、必要なことだけは全て知りたいというのも現実的ではない。
脳にも当然のこと、容量制限があり、ある一定以上の情報は入らない。だから不必要なことは忘れよう、そして新しい知識も網羅しようとは思わず、興味を持ったものだけを記憶に取り入れよう。運が良ければ、次のステップにつながるヒントが得られるかもしれない。
では、脳はどのようにして記憶と情報を整理しているのだろうか? 必要がなさそうな記憶や情報を、選択的に削除していくことはできるのだろうか?
なんの意味もないような記憶が執拗に残っていることがある一方で、大事なことを忘れてしまっていることに気がつく。脳が記憶と情報を落としていく時に、その記憶や情報の重要さを基準にはするのは、直感的にも難しいことと思える。だからといって、重要性に関係なく任意(ランダム)に落ちていくのも困る。
ランダムではないとすれば、どのようにして整理されているのだろうか? 記憶のメカニズムの解明が待たれる。
(参考文献)
・「思い出を選んで残すメカニズムを解明」理化学研究所HP
・「海馬から大脳皮質への記憶の転送の新しい仕組みの発見」理化学研究所HP
・「睡眠と記憶に関する近年の知見」(鈴木博之、『精神保健研究54号』、2008年)
1956年大阪府で生まれ兵庫県で育つ。東京大学医学部卒業後、内科研修を経て医学部第3内科に入局。国立がんセンター研究所ウイルス部に出向して白血病ウイルスの実験に従事した。その後、第3内科に戻り血液内科の臨床と研究を行う。32歳で米カリフォルニア州DNAX 分子生物学研究所に博士研究員として留学。37歳で小さな研究室で独立。40歳で帰国し、東京大学医科学研究所で日本初の寄付講座を担当。1991年、同研究所先端医療研究センター教授。同センター長を経て、2022年から現職。
