なぜ男性は、子づくりに二の足を踏むのか

40代まで気ままに生きてきたヒキタさんが「子どもを作ろう」と思ったきっかけは、奥さんに「あなたの子どもが欲しい」と言われたことです。

ここに大きなポイントがあるのですよ。

女性は「本能の呼び声」としか言いようのない思いに突き動かされ、出産の限界年齢の足音とともに、突然子どもが欲しくなることがよくあります。割とキャリア女性などに多いパターンなのですが、この「突然の野生の呼び声」とも言うべきものに、女性はなかなか逆らえません。

そして優秀な人ほど持ち前のリサーチ能力を駆使し、本を読み、サイトをチェックし、知識を蓄え、すっかり不妊治療のプロになったところで夫に打ち明ける。ところが、夫は寝耳に水です。妻の発する専門用語や卵子の老化の話などは、彼にとっては異国語も同然。

だいたい、男性は変化を嫌う生き物で、適応能力も女性に比べると低い。子どもという最大の変化に対して、ついつい「今の仕事が終わってから」とか、「まだいいんじゃない?」などという返事をしてしまう。

今は共働きが多いので、子どもが欲しいと目をキラキラさせる妻に対峙しながらも「えーっ、仕事どうするの? 君が仕事やめたら、今のマンションに住めないよ」という経済的事情も頭をよぎる。

「自然に任せればいいんじゃないか……」などとモゴモゴつぶやくと、さらに妻はヒートアップしてしまうのです。